2021 Fiscal Year Research-status Report
不安とホルモンについての文化神経心理学的検証ー日米女性比較データによる検証―
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17K04328
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Research Institution | Tokyo Woman's Christian University |
Principal Investigator |
唐澤 真弓 東京女子大学, 現代教養学部, 教授 (60255940)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 不安傾向 / 女性ホルモン / エストロゲン / 文化差 |
Outline of Annual Research Achievements |
不安は、個人内特性であると共に、社会・文化の制約下での自己形成のプロセスである。したがって、個人の生理的レベル、質問紙などによる態度レベル、認知課題遂行時における脳神経レベルでの複層的分析が必要となる。本研究では、不安とホルモンの関連に着目し、これまで行ってきた自己関連情報のバイアスの文化心理学的視点の知見を加えて、不安のメカニズムを女性を対象とした、日米比較研究によって検証することを目的としている。具体的には以下の手続きで実施を計画した。 1)ネガティブな情報処理時の認知活動の脳波を分析し、2)月経周期におけるホルモンとの関連を分析し、日本、アメリカでの同一手続きによる実験から文化差の有無を検証し、3)不安のメカニズムの文化的モデルを検討する。 コロナ禍により、昨年度は研究方法の修正のための予備調査を行い、本年度実施する予定であったが、感染の再拡大により、予定していた脳波実験を行うことができなかった。都内の大学に通う参加条件を満たした女子大学生 23 名を対象に、35 日間継続して質問紙調査と基礎体温の測定を行うこととした。不安傾向を測定する質問項目として、主観的ストレス、不安覚醒、抑うつ得点を算出し、ホルモン指標には基礎体温を用いてエストロゲンが急減する排卵期を同定した。その結果、ストレスと抑うつに対してエストロゲン値の主効果が見出され、エストロゲンが急減してエストロゲン低値となる排卵後は、エストロゲン中値である排卵日よりも有意にストレス得点が高く、抑うつも、ストレスと同じ傾向を示していた。しかし、不安覚醒に影響はみられなかった。日本におけるネガティブ感情の強さとの関連によることが示唆された。実験課題を実施することができず、次年度に実施することとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ感染拡大により、研究方法の修正を行った。一定の成果を得たものの、予定していた脳波実験を行うことができなかった。また、PCの不具合が起き、代替機を購入し、調整に時間が必要となり、実験の計画が遅れている。次年度に実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、感染予防策を実施しながら、研究成果を確定するために、昨年度と同様、基礎体温によるホルモン周期を同定しながら、変動期に実験室に訪問してもらい、脳波実験課題を10名に実施する予定である。予備調査を実施し、9月から12月に予定している。
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Causes of Carryover |
コロナ感染拡大防止のための学内行動基準により、対人的接触実験を実施することができなかったことで残額が発生し、またPCの不具合により代替機を購入した。今年度は、脳波実験課題を10名に実施する予定である、また成果の学会での発表を行い、人件費と旅費を支出する予定である。
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