2018 Fiscal Year Research-status Report
集団間葛藤状況における被社会的影響性に関する実証研究
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17K04335
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Research Institution | Hiroshima Shudo University |
Principal Investigator |
中西 大輔 広島修道大学, 健康科学部, 教授 (30368766)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横田 晋大 広島修道大学, 健康科学部, 教授 (80553031)
井川 純一 大分大学, 経済学部, 准教授 (90748401)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 社会的ジレンマ / 集団間葛藤 / 文化的群淘汰 / 多層淘汰 |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年度に引き続き、ダブルジレンマ実験を実施した。前年度からのデータとあわせて132名の実験参加者が得られ、十分なNに達したため、分析を行い、Human Behavior and Evolution Society (HBES) の年次大会 (アムステルダム) で発表を行った。ダブルジレンマ実験は他者の行動が参照できるSocial条件、参照できないAntisocial条件、通常の社会的ジレンマゲームを1グループのみで行うControl条件の3条件であり、50試行行った。実験では毎回15円の元手が与えられ、その資源をグループに提供するかどうかの意思決定を行った。グループサイズは3名、グループ数は2であった (Control条件のみ1グループで実施)。
GLMMにより分析したところ、文化的群淘汰説を支持してSocial条件でのみ協力率が高くなるという結果が得られた。さらに、協力率と実験参加報酬との相関はControl条件でのみ負の相関関係が得られており、集団間葛藤の存在する他の条件では協力率が高いほど報酬額が少なくなるわけではないことが明らかになった。これは集団間葛藤の操作が十分に行われていたことを示すデータである。一方、通常の社会的ジレンマゲームを行ったControl条件でも協力率が50%程度から低下しないといったデータも得られており (一般的なデータよりも協力率が高い)、これが本研究室の実験参加者プールの特徴なのか、あるいは匿名性の教示が十分に浸透していなかったのか、といった点については今後より詳細な検討が必要である。
当初予定していた社会情報を統制した社会的ジレンマ実験についてはマテリアルの作成、倫理申請まではできたものの、2018年度は十分な実験参加者プールがなかったため、次年度に行うこととした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度より実験参加者プールが不十分であり、予定した通りの実験参加者が集まっていない。今年度予定している社会情報を統制した実験については2名ずつ行うことができるため、予定したとおりに行うことができると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は社会的情報を統制した実験を行い、他者の行動情報と協力行動との関係についてよりミクロな観点から分析する予定である。必要なNから考えて、不足しがちな本研究室の実験参加者プールでも十分間に合うと考えられる。また、集団間葛藤事態において他者の行動を人がどの程度気にするかをより身近な場面を想定したインターネット調査を行うことによって明らかにする予定である。
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Causes of Carryover |
予定通りに行なうことができなかった実験があったため。
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