2017 Fiscal Year Research-status Report
教育実践経験への意味づけと教師としての成長－自伝的推論の観点から
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17K04342
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| Research Institution | Gunma University |
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Principal Investigator |
佐藤 浩一 群馬大学, 大学院教育学研究科, 教授 (40222012)
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| Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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| Keywords | 教師 / 自伝的記憶 / 自伝的推論 / 省察 / 経験の意味づけ |
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| Outline of Annual Research Achievements |
教育経験のリフレクションや教師の成長は、教師教育学で検討されているが、本研究は自伝的記憶・自伝的推論の観点から、教育実践経験に対する意味づけが教師の成長にどのようにつながるのかを検討する。29年度は研究計画に沿って、以下の研究を実施した。
第一に、30代～50代の教員を対象に、自伝的推論尺度を用いて、教育実践の成功・失敗経験の意味づけを問うとともに、適応やアイデンティティとの関連を検討した。その結果、成功も失敗も強く意味づけられること、最近の経験の場合は成功に対する意味づけが適応やアイデンティティと関連するが、過去の経験の場合は成功も失敗も適応・アイデンティティが関連すること等が見出された。また質問紙調査回答者の一部に半構造化面接を実施し、意味づけの内実を聴き取った。
第二に、教育実習を終えた教育学部生に半構造化面接を実施し、実習中の成功・失敗経験の意味づけを検討した。教員志望の強弱にかかわらず、学生は実習中の経験を強く意味づけていた。またその意味づけは、自己像の確認や新たな自己の発見、経験を次に生かす指針、実習中の指導教員との関係維持など、自伝的記憶の自己機能・方向づけ機能・社会機能につながるものであった。一方で、自らの経験を十分に意味づけられない学生もおり、実習後の支援のあり方に示唆を与える知見が得られた。
第三に、教員によるリフレクションの実態を捉えるために、教職大学院の修了者が在学中に取り組んだ実習の実習記録の内容分析を試みた。その結果、実習生個々人によって独自のテーマがあり、それが実習記録に「主題的一貫性」をもたらしているのではないかとの着想を得た。そこで修了生の一部に面接調査を実施し、その点を確認した。
このように、２９年度は若手からベテランまで様々な層の教員を対象に、教育実践の意味づけとその影響を、複数の手法で検討した。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた検討のうち、「自伝的推論尺度を用いて、成功・失敗への意味づけと適応への関連を探る」という事項は計画通りに進捗している。また経験からの時間経過の影響というあらたな知見も得られた。「面接調査」は複数校種の教員に実施し、成功・失敗について聴き取ることで、質問紙では十分に捉えられない意味づけの内実を知ることができた。さらに学部生の教育実習に関わる面接も行い、自伝的推論と自伝的記憶の３機能の関連について理論的にも意義深い知見を得ることができた。さらに「実習録の内容分析」という新たな手法を考え、実績に記したような一定の成果を得ることができた。このように、29年度は量的・質的という２方向の検討を行い、教育実践に対する意味づけとその影響を検討した。
ただしいずれの検討もデータ数がやや不足しており30年度も継続が必要なこと、質的分析については分析手法の洗練が望まれることから、表記の通り判断した。
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| Strategy for Future Research Activity |
第一に、「自伝的推論尺度を用いて、成功・失敗への意味づけと適応への関連を探る」という事項については、29年度と同じ質問紙を用いて、データ数を増やし、29年度に得られた知見の信頼性を高めたい。第二に、「面接調査により実践経験の意味づけを探る」という事項についても、協力者を増やすとともに、自伝的推論・自伝的記憶の３機能・ライフストーリーにおける主題的一貫性など、理論的に関連する概念の統合的理解に向けてモデルを構築していく。その際に、実習録などのドキュメントも活用していく。第三に、「実践－リフレクション－実践」のサイクルに参与することで、経験の意味づけとその影響をオンラインで検討していく。
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Research Products
(3 results)
