2018 Fiscal Year Research-status Report
小中学生のレジリエンスを促進し不登校を予防するための包括モデルに関する研究
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17K04349
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
小林 朋子 静岡大学, 教育学部, 教授 (90337733)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
五十嵐 哲也 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 准教授 (90458141)
渡邊 弥生 法政大学, 文学部, 教授 (00210956)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | レジリエンス / 子ども / 不登校傾向 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、小学生 2,050名、中学生 4,510名、高校生1,415名、計7,975名を対象とし、レジリエンス、ストレス反応、不登校傾向、および生活習慣に関する調査を行った。 小4から高3年生までのレジリエンスの推移をみたところ、中1からのレジリエンスの低下は高1,2年で止まる傾向であったこと、さらに男女で傾向が異なるところがあり、傾向に応じた支援が必要であることがわかった。生活習慣に関しては、小学生は21時までに就寝している子どものレジリエンスが高い傾向にあった。そのため、小学生は22時、中学生は23時までに就寝することが望ましいと考えられた。また、高校生は小中学生と異なる傾向であった。 さらに不登校傾向の度数分布を確認したところ,「全般的」では中央値が小学生で2.0,中学生で2.2,高校生で2.4となり、学年が上がるにつれて上昇していくことが確認された。またレジリエンスと不登校傾向の関連を調べたところ,すべての学校種において有意であったのは「客観的な捉え方」であった。レジリエンスの中でもとりわけ困難なことに対して様々な角度から考え冷静でいられることが,不登校傾向を弱める方向性が明らかとなった。高校生においては特に心理的な不調を予防できると考えられる。また「ルーティン行動」を取ることは「全般的な登校意欲の喪失」にはつながるものの,必ずしも「心理的な不調傾向」とは関連が見られず,単なる習慣化が心理的に安心をもたらすとは言えないことが示唆された。むしろ,「セルフケア」の方が「心理的」に安定をもたらすと考えられ,レジリエンスとは言っても,下位概念によって,不登校傾向との関連性が異なることや,学校種によっても関連性の強さが異なるため,発達的な視点やレジリエンスの要因についてさらに詳細に見ていく必要がある。 これらの研究結果は、2019年度の日本教育心理学会、日本学校保健学会等で報告していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2017年、2018年度と小4から高3までの約8000名の児童生徒を対象として調査を行うことができ、成果が得られており、おおむね順調に研究を進めることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
2017年、2018年度の調査データを用いた縦断データをまとめているところであり、不登校傾向とレジリエンスの関連性を、小学生から高校生にかけて、縦断データを用いた解析を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
調査に際して、マークシート作成および集計を業者に一括して依頼したことにより、謝金等の経費を抑えることができた。2019年度に調査に協力してくれる学校がさらに増加する見込みのためデータ入力や郵送料等の調査費用の増加に対応し、さらに予定している学会発表に関する費用として、次年度使用する予定である。
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Research Products
(14 results)