2019 Fiscal Year Research-status Report
小中学生のレジリエンスを促進し不登校を予防するための包括モデルに関する研究
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17K04349
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
小林 朋子 静岡大学, 教育学部, 教授 (90337733)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
五十嵐 哲也 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 准教授 (90458141)
渡邊 弥生 法政大学, 文学部, 教授 (00210956)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | レジリエンス / 不登校 / 子ども |
Outline of Annual Research Achievements |
A県内の国公立学校の小学生1,310名、中学生 4,210名、高校生1,548名、計7,068名を対象とした調査を2019年9月~10月に実施した。調査は、「レジリエンス尺度」「ストレス反応尺度」「不登校傾向尺度」「自動思考尺度」であった。レジリエンス尺度については3年間実施したことから、その傾向を把握したところ、「つながり」では小5での低下が2018年度には見られなかったが2019年度では低くなる傾向が確認された。「ルーティン行動」は3年間とも同じグラフの推移を示し、3年間とも規則正しい生活を送ることは学年があがればあがるほど低下していた。「自己肯定」では、3年間通して高1,2まで低下し、そこから上昇していくこと、さらに小学5年生の低下が3年間共通して見られたことから、小4から小5にかけて自己肯定を保つ学級経営が非常に重要であることが示唆された。今後は、3年間の縦断データを基にマルチレベルの解析を行っていく予定である。 また自動思考では、女子において中学生から「自己の否定」が上昇しており、ネガティブな考え方に対するサポートが必要であることが示された。小学生の時から、物事の捉え方に関する授業などを行う必要が示唆された。 不登校傾向では、学年があがるにつれて平均値があがっていることが明らかになった。このことから、学校に来ているものの、どの子どもも「なんとなく学校に行きたくない」という気持ちがあること、特に高校生ではその傾向が強いことが示された。不登校は特別なことではなく、きっかけさえあればどの子にも起こりうるという文部科学省の見解がデータでも示されたと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2年間の縦断調査を予定していたが、学校からの協力が得られたことから、3年間の縦断調査を実施し、より長いスパンでの子どもの変化を追うことが可能となった。3回目の調査を2019年12月に実施しデータを得たことから、今後はそれらのデータを基に縦断データを潜在曲線モデルなどを用いたマルチレベルによる解析を行っていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
3回目の調査を2019年12月に実施しデータを得たことから、今後はそれらのデータを基に3年分の縦断データを基に、発達的な推移も含めたレジリエンスと不登校傾向との関連性について潜在曲線モデルなどを用いたマルチレベルによる解析を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
3年分の縦断データを用いたマルチレベルの解析を行うため、これに伴う旅費、謝金、解析ソフトの購入費と、これまでの成果を発表するための学会発表関連旅費を必要とするため、次年度使用分として令和2年度に使用することとした。
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