2019 Fiscal Year Annual Research Report
Developing an instructional framework based on the facilitative effect of interactions with others on metacognitive monitoring
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17K04350
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
清河 幸子 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 教授 (00422387)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | メタ認知的モニタリング / 言語化 / 自己/他者 / 洞察問題解決 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究1では,自己もしくは他者に向けた思考の言語化が洞察問題解決に及ぼす影響を検討した。University of Sussex(英国)と名古屋大学(日本)の学生が実験に参加し,洞察課題の1つであるTパズルに取り組むよう求められた。参加者は,課題開始5分後に,教示された内容を所定の用紙に3分間で書き記すよう求められた。言語化(自己)条件では,自分自身に向けて思考を言語化するよう教示されたのに対して,言語化(他者)条件では,別の参加者に向けて言語化するよう教示された。統制条件では,課題とは無関連な内容について言語化するよう求められた。言語化の後,10分間の制限時間で再び課題に取り組むよう求められた。英国の結果では,2つの言語化条件で統制条件よりも解決成績が低いという言語化の妨害効果が示された。それに対して,日本の結果では,条件間で解決成績に差は認められなかった。以上より,言語化が洞察問題解決に及ぼす影響は参加者の属する集団により異なる可能性が示唆された。 研究2では,試行履歴の情報源が自己であるのか,他者であるのかということが変数間の関係の学習に及ぼす影響を検討した。名古屋大学の学生が実験に参加し,複雑なダイナミックコントロール課題の1つである水槽課題に2回取り組むことを求められた。全ての参加者に対して,2回目の取り組み時には当該参加者の1回目の取り組み時の試行履歴が呈示されたが,自己履歴条件では,その試行履歴を「自己のもの」と教示されたのに対して,他者履歴条件では「他者のもの」と偽って教示された。条件間で学習成績に差は認められなかったが,試行履歴を参照する際に考えていたことについては,他者履歴条件において,意図の推測や試行に対する評価に関連した内容が多かった。以上より,同じ情報であっても,「他者のもの」と捉えることでメタ認知的な処理が生じやすくなることが示唆された。
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