2017 Fiscal Year Research-status Report
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17K04351
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
富田 昌平 三重大学, 教育学部, 准教授 (80342319)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 空想上の存在 / 想像的探険遊び / 行事 / 幼児教育 / 保育 |
Outline of Annual Research Achievements |
幼児期に多くの子どもはクリスマスや節分などの各種行事や遊び・活動を通して様々な空想上の存在との出会いを体験する。この種の体験は彼らの生活に多大なインパクトを与え,認識や感情の発達に影響を及ぼすことが予想される。そこで本研究では,幼児期に子どもは空想上の存在とどのように出会い,その体験を通して認識や感情の発達がどのように促されているかについて実証的に検討することを目的とする。 2017年度は,幼児期における空想上の存在との出会い体験の意味について,発達心理学的観点及び保育実践学的観点から考察し,本研究課題を明確化するにあたって,以下の2点の成果を得た。 第1に,関連する先行研究の文献資料及び幼児教育・保育現場の実践記録を収集し整理した。特に保育実践学的観点に関しては,その概要を論文にまとめ,学会誌に投稿した(2018年度内に掲載予定)。具体的には,空想上の存在との出会いを軸として展開する遊び(想像的探険遊び)に焦点を当て,その遊びが登場以来の約30年間の実践記録を収集・整理し,傾向や特徴,幼児教育・保育現場への貢献についてまとめた。 第2に,幼稚園・保育園で登場する空想上の存在に関する実践の記述を得た。具体的には,幼稚園・保育園各1園で行われた空想上の存在が登場する行事(主にクリスマス会と節分の豆まき)に参加・観察し,実践の目的・方法・内容,子どもの様子,保育者の役割等について記録した。また,幼稚園で自然発生的に現れた「かっぱおやじ」という空想上の存在が子どもたちの間でどのように認識され,共有されていったか,実践の展開過程や家庭との連携等について質問紙調査やインタビューを交えながら縦断的に記録した。 これらは今後のより大規模な質問紙調査やインタビュー調査での質問項目作成の参考になるだけでなく,園との協働による新たな実践の創造や実験計画の策定の基礎を与えるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
三重県内の幼稚園・保育園を対象とした質問紙調査は行えていないが,すでに2018年度に予定していた研究の一部が進行できているため。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度は,想像的探険遊びの実践が数多く行われていることが確認された地域の幼稚園・保育園を対象とした質問紙調査を行い,その内容や特徴,実践における留意事項等についてのデータを得る。併せて,いくつかの園に対してフィールド調査を依頼し,保育者へのインタビューや各種資料の提供により,幼児期において空想上の存在との出会い体験が持つ意味についてより多角的に分析を進める。
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Causes of Carryover |
(理由):平成29年度の計画のうち,フィールド調査は先行してスタートすることができたが,質問紙調査は実施することができなかったため,その分若干使用額が少な目で済んだため。 (使用計画):平成30年度に行う質問紙調査に使用する予定である。
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Research Products
(5 results)