2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K04351
|
Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
富田 昌平 三重大学, 教育学部, 教授 (80342319)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 空想上の存在 / 想像的探険遊び / 行事 / 幼児教育 / 保育 |
Outline of Annual Research Achievements |
2年目にあたる2018年度は,以下の3点の成果を得た。 第1に,サンタクロースが幼児においてどのように実在視されているかを探るために,幼稚園の4,5歳児クラスの幼児各20名を対象に,様々な時間・空間でのサンタクロースとの出会い経験等についてのインタビュー調査を実施した。調査の結果,4歳と5歳の間でサンタクロースに対する信念に変化はないが,その概念は変化し,5歳児は4歳児よりも洗練された概念を持つことにより,様々な時間・空間で出会うサンタクロースをより明確に区別していることが示された。 第2に,クリスマス文化やサンタクロース神話の文化間で異なる受容の程度について明らかにするために,中国人留学生20名を対象に,それらの幼年期における認識や体験について尋ねる質問紙調査を実施し,過去に行った日本人学生の結果との比較を行った。調査の結果,幼年期におけるサンタクロース信念は日本人学生が90%に対して中国人留学生は50%に過ぎず,北部出身者よりも南部出身者の方がより信念の保持を経験していた。また,中国人留学生は日本人学生よりも,子どものサンタクロース信念に対して空想的,想像的に応じるのではなく,現実的に応じる傾向が見られた。 第3に,昨年度と同様に,空想上の存在との出会いを含む実践について幼稚園・保育園でフィールド調査を行い,(1)クリスマス会に登場したサンタクロース,(2)節分の豆まき会に登場した鬼,(3)運動会・発表会前に登場した海賊・黒ひげ船長という3つの実践記録を得た。中でも,クリスマス会では,クリスマス登場後の子どもの会話を3,4,5歳児の各クラスで記録し,出会ったサンタクロースを幼児がどのように認識し,それは発達的にどのように変化するのかについての貴重な資料を得ることができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度に予定していた研究は概ね行うことができたが,2017年度に予定していた幼稚園・保育園を対象とした質問紙調査はまだ行えていないため(2019年度中に実施予定)。
|
Strategy for Future Research Activity |
2019年度は,想像的探険遊びの実践が数多く行われていることが確認された地域の幼稚園・保育園を対象とした質問紙調査を行い,その内容や特徴,実践における留意事項等についてのデータを得る。併せて,フィールド調査も継続して行い,幼児期において空想上の存在との出会い体験が持つ意味についてより多角的に分析を進める。
|
Causes of Carryover |
平成30年度中の実施を予定していた質問紙調査を行わなかったため(代わりにフィールド調査を重点的に実施),質問紙作成のための紙代やインク代,通信費が発生しなかった。平成31年度はこれを確実に実施し,次年度使用額分はそれに充てる予定である。
|
Research Products
(7 results)