2017 Fiscal Year Research-status Report
子が思春期にあるときの子及び親の発達性認知・相互交渉が子及び親の発達に与える影響
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17K04354
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
齊藤 誠一 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (60186939)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松河 理子 花園大学, 社会福祉学部, 講師 (00622028)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 思春期 / 更年期 / 親子関係 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.先行研究の検討と新たなモデル構築:思春期にある子とその親それぞれの発達性の認知と相互作用がそれぞれの発達のどのような影響を及ぼすかについて,こうした親子に関するそれぞれの親子関係認知,親と子それぞれに対する相互作用などの観点から文献検討を行った。従来からの研究モデルである親,子それぞれを独立にみた心理的特徴に対する分析がほとんどで,相互の発達状況を考慮した相互作用の観点での研究は得られなかった。そのため,これまでの思春期発達と中年期発達を交差させる新たな研究モデル構築のための検討を行った。とりわけ,独立に親と子の発達が進行しつつ,それらが相互の発達にも影響を与えるといった発達的交差モデルの必要性が明らかになった。 2.親子相互関係を観点にいれたメンタルヘルスの検討:1と関わりメンタルヘルスの観点から各発達段階の好発病理と親子間に病理の影響性を文献検討したが,思春期と中年期の発達性交差の影響に関する検討は多くなかった。ただし,遺伝的特徴が類似している親子について,それぞれの発達状況がメンタルヘルスあるいは精神病理の表出のトリガーになる可能性が大きいので,この点を踏まえてメンタルヘルスの研究モデル構築のための検討を行った。 3.子が思春期の親の発達性の予備的検討:これまでは中年期の発達的特徴として検討されてきたが,とりわけ思春期に対応する発達段階として,更年期の意識について身体的変化,その受容などについては資料が多くないので,中年期女性に対する予備的調査を行った。その結果,更年期変化の推移やその経験のされ方などにより心理的特徴が異なる傾向が見られた。これまで更年期は中年が個別的に経験されるものとされてきたが,子が思春期にあることの家族的文脈,その個人がどのように思春期を経験したかという発達的文脈についても考慮すべきであることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の観点での思春期と中年期を交差させた研究が少なく,先行研究の検討と新たな研究モデル構築に時間を要し,本来予定していた調査が一部実施にとどまっているため,計画よりやや進行が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度前半にこれまでの文献検討をもとにした研究モデルを確定させ,当初予定よりも若干本調査時期を繰り下げてデータ収集を行い,データ分析を集中的に行うことで,遅れが回復できるものと思われる。
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Causes of Carryover |
当初予定した調査より規模が小さかったため,資料整理の謝金が不要となったため。 今年度はより大きな規模の調査を予定しているので,その経費に充てる計画である。
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