2018 Fiscal Year Research-status Report
子が思春期にあるときの子及び親の発達性認知・相互交渉が子及び親の発達に与える影響
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17K04354
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
齊藤 誠一 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (60186939)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松河 理子 花園大学, 社会福祉学部, 講師 (00622028)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 親子関係 / 更年期 / 思春期 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.子の思春期と母親の更年期の交差性の心理的影響に関わり,母親の更年期の心理的影響について閉経段階,心理特性,更年期症状認知,ジェネラティビティの観点から調査を行い,①閉経段階と更年期に対する否定的態度に関連があること,②更年期症状の重篤認知と更年期に対する否定的態度,抑うつ,時間的展望に関連があることが明らかになり,閉経段階が進行することや重篤な更年期症状が心理的にネガティブな影響を及ぼすものの,閉経が終了し,症状が軽減することにより,メンタルヘルスが回復する傾向が認められた。本研究では女性ホルモンの減少量を直接測定していないが,症状の程度から女性ホルモンの減少→更年期症状の重篤化→抑うつなどメンタルヘルスの悪化といったパスが確認された。今後はこうした時間的経過と子の思春期段階との交差性の検討が必要といえる。 2.更年期年齢の母親と子との相互交渉の影響について,極端なケースとしての物理的別離を取り上げ,子の離家の観点から母親の子認知や家庭認知,心理的エネルギー配分,ライフスタイルなどの観点から調査を行い,①物理的別離を肯定的に捉えるほど子との関係を肯定的に捉え,心理的エネルギーを子から自己へ再配分し,より充実した生活志向を有していること,②物理的別離による子に対する喪失感の高さとライフスタイルの理想と現実とのギャップに関連がみられたことから,物理的別離の受け止め方が母親の新たなライフスタイル形成に影響すること,③従来から指摘されてきた空の巣現象についてはすべての母親に見られる訳ではないことが示唆された。今後はこうした子との物理的別離の時期と母親の更年期段階との交差性の検討が必要といえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
子の思春期と母親の更年期の交差性の心理的影響について,更年期の進行状況と母親のメンタルヘルスの関連については仮説に即した知見が得られ,追加的に行った子との物理的別離の心理的影響についても一定の傾向を得ることができ,子の思春期の進行との交差性を検討する基礎的知見が得られたが,30年度末に実施予定であった子の学年あるいは学校種の変化によるタイミング効果の影響を検討するための調査を実施のタイミング効果を調整するために31年度6月までの実施に変更したため。
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Strategy for Future Research Activity |
子の思春期と母親の更年期の交差性およびそれぞれの相手に対する認知の心理的効果について相互作用的検討を行うための2つの調査を行う予定であり,従属変数と説明変数の再検討,子の思春期範囲の再検討などを行った上で調査計画を確定し,速やかに実施していく。第一調査は当初30年度末までに予定していたが,子の学年あるいは学校種の変化によるタイミング効果の影響を検討するために時期を31年度6月までに変更して実施する。第二調査は,母親の更年期範囲と子の思春期年齢範囲を当初よりも広く見積もることにより,更年期や思春期の前後の時期の影響と身体的変化以外のライフイベントの影響を検討するために31年度10月までに実施する。調査終了後,全体的な結果の集約を進めていく。
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Causes of Carryover |
30年度末までに予定していた調査の実施をタイミング効果を調整するために,31年度6月までの実施に変更したため,こうした状況が発生した。31年度に当初予定した調査に加えて実施することで助成金を予定通り使用する計画である。
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