2019 Fiscal Year Annual Research Report
Effect of input language on visual attention
Project/Area Number |
17K04355
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
村瀬 俊樹 島根大学, 学術研究院人間科学系, 教授 (70210036)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 文化 / 注意 / 言語 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本人が北米人よりも、中心的対象に注意配分を行う割合が低く、背景情報に注意配分を行う割合が高いことが明らかとなっているが、その原因として、日本語は、文レベルにおいても談話レベルにおいても背景的な情報を先に述べ、中心的対象を後に述べる傾向が英語よりも強いことが考えられる。本研究は、場面に対する叙述の仕方の経験が注意配分に及ぼす影響を検討した。 実験1では、日本人大学生52名が実験に参加した。ナレーションセッションは4ブロックからなり、各ブロックとも雑音が吹き込まれている静止画、ナレーションが吹き込まれている静止画があった。中心対象先行群のナレーションは中心対象のみを叙述し、背景先行群のナレーションは背景を叙述してから中心対象を叙述していた。雑音は両群で同じものであった。ナレーションは静止画が提示されてから3秒後に開始した。 ナレーションセッションのナレーションが吹き込まれている静止画では、各ブロックとも、静止画開始3-6秒、6-9秒の間に、中心対象先行群の方が背景先行群よりも、中心対象を注視する割合(中心対象注視時間/(中心対象注視時間+背景注視時間))が高かった。一方、ナレーションセッションで雑音が吹き込まれている静止画では、第2ブロックと第3ブロックの3-6秒の間で、中心対象先行群の方が背景先行群よりも中心対象を見る割合が高かった。 実験2では、37名の日本人大学生が実験に参加し、ナレーションの始まりを静止画の提示0.5秒後とし、同様の実験を行った。ナレーションのある静止画では、中心対象先行群の方が中心対象を注視する割合が高かった。雑音が吹き込まれている静止画では、第3ブロックの3-6秒の間で、中心対象先行群の方が背景先行群よりも中心対象を見る割合が高かった。 以上のことから、場面を叙述する言語を聞く経験が、中心対象と背景への注意配分に影響を及ぼすことが示唆された。
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