2017 Fiscal Year Research-status Report
The effectiveness of medication and environmental adjustment on event related potential (ERP) and operant behavior related to inattention in the animal models of ADHD.
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17K04362
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Research Institution | Fukuoka Prefectural University |
Principal Investigator |
麦島 剛 福岡県立大学, 人間社会学部, 准教授 (40308143)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 注意欠陥多動性障害 / モデル動物研究 / 衝動性 / 注意 / 遅延価値割引 / 実験行動分析 / 行動薬理学 / 事象関連電位 |
Outline of Annual Research Achievements |
てんかんモデルELマウスについて、筆者らはADHDモデルとしての妥当性を示してきた。行動分析学における衝動性研究パラダイムの一つとして,遅延価値割引がある。これは,即時小報酬と遅延大報酬の選択肢を設ける事態であり,前者の選択が衝動的選択とされる。これまでに筆者らは離散試行課題による遅延価値割引を用いて,ELマウスの衝動的選択を報告してきた。本研究では,よりフリーオペラントに近い並立連鎖スケジュールを用いて,ELマウスと対照系統DDYマウスの選択行動を検討し、離散試行課題での結果と比較した。その結果、異なる手続きの間で差がみられなかったことより、ELマウスの衝動性についての議論をより一般化できると考えられる。 ADHD児の脳波学的知見として健常児に比べてθ波領域が強く、β/θ値が高いことがある(Fox et al.,2005)。最近ではθ/β値が診断基準の一つとしての可能性が議論されており、ADHD児においてこの値を低下させるバイオフィードバック訓練も試みられている(Van Doren et al., 2017)。そこでADHDモデル動物として検討されている高血圧自然発症ラット(SHR)およびその対照系統であるWKYの硬膜上および海馬CA1において、安静時の脳波を測定し、周波数分析を行い6つの周波数帯(δ,θ,α1,α1,β1,β1)に分類した。また、ADHD治療薬methylphenidate投与による効果も検討した。その結果、θ/β値には系統間に違いや薬効は認められなかった。SHRはこの脳波学的指標においてはヒトADHDとは異なるのかもしれない。一方で、さらに詳細に周波数分析を行うことで新たな知見が見出される可能性もある。また、無投与時にSHRの海馬β1が対照系統よりも強く、これがMPH投与により減弱する傾向を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の骨子であるモデル動物を用いた脳波研究と行動分析学・行動薬理学的研究の両面について、それぞれ必要な知見を得られたこと。このうち、脳波研究においては、近年、ヒトADHDにおいてθ/β値を診断指標とする可能性や治療法の開発が進展しており、この観点での知見を売ることができた。また、行動分析学・行動薬理学的研究においては、筆者らがこれまでに明らかにしてきた離散試行での遅延価値割引課題における衝動性と並立連鎖スケジュールにおける衝動性が同様であることを明らかにできた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後もひきつづき、脳波研究と行動分析学・行動薬理学的研究の双方からADHDモデル動物を用いてADHDの不注意と衝動性の原理を探るとともに、応用行動分析をより精緻化するための行動原理を究明できるよう推進する。そのために、ELマウスの確率割引課題における衝動性や、潜在制止学習による不注意や、ミスマッチ陰性電位を指標とした前注意機能などを検討していく計画である。
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Causes of Carryover |
ADHDモデルマウスの衝動性を検討するため、オペラント装置を用いた遅延割引課題に加えて、新たに確率割引課題を実施して、衝動性の特性を総合的に検討する予定である。そのため、次年度にオペラント装置の制御装置に組み込まれたソフトウェアを改良する必要がある。この改良を制御装置の製造元に依頼する。当初は、初年度末にこの依頼をする予定だったが、作業手順により、次年度に行うこととなり、上記の次年度使用額が生じることになった。
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Research Products
(5 results)