2017 Fiscal Year Research-status Report
「チーム学校」の促進要因・妨害要因の日米比較研究ー教育相談の視点からー
Project/Area Number |
17K04367
|
Research Institution | Tokyo Seitoku University |
Principal Investigator |
石隈 利紀 東京成徳大学, 応用心理学部, 教授(移行) (50232278)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
家近 早苗 大阪教育大学, 連合教職実践研究科, 教授 (40439005)
田村 節子 東京成徳大学, 応用心理学部, 教授(移行) (40549151)
鈴木 庸裕 福島大学, 人間発達文化学類, 教授 (70226538)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 教育相談 / スクールカウンセラー / スクールソーシャルワーカー / チーム援助 / チーム学校 |
Outline of Annual Research Achievements |
福島県、茨城県、大阪府、高知県で、不登校・発達障害等に関わる、教師、スクールカウンセラー(以下SC)、スクールソーシャルワーカー(以下SSW)、保護者のチームによる教育相談の実践(事例)について検討した。例えば福島県では、研究代表者石隈と分担者鈴木が参加している「福島県子どもの心のサポートチーム協議会」を通して、SCやSSWの派遣先からの情報を得た。教師、Sc、SSW、保護者との連携による不登校の事例での援助の実践は進んでおり、コーディネーター役の教師(養護教諭含む)が教育相談スキルアップ研修会でチーム援助の訓練を受けていることがチーム学校の促進要因になっていることが分かった。被災や転居により心身の課題や経済的な課題をもつ保護者にはSSWとの連携は重要であるが、SSWの配置が少ないこともあり、認知度が低いことが、SSWとの連携の妨害要因の一つである。茨城県では、教師、SCのチームにSSWが参加するときは、教育委員会の指導主事がコーディネーターとして入り支援する。茨城県でもSSWの認知度が低いことが連携の妨害要因となっている・大阪府では、中学校における教師、SC、SSWのチームが、虐待や生徒間性暴力の問題で援助した事例があり、コーディネーター役は生徒指導担当教師であった。生徒指導の教員のコーディネーターとしての機能が促進要因にもなり、妨害要因にもなる。高知県の事例では、教師、SC、保護者の連携において、必要に応じて教育研究所に配置されているSSWが、チームに参加している。チーム援助において、校長のリーダーシップや幼・小・中の連携が促進要因である。以上のチーム援助の実践から、促進要因としてはコーディネーターの力量(およびその養成)、管理職のリーダーシップ、妨害要因としてはSCやSSWの仕事の認知に低さが考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究代表者と分担者が、福島県、大阪府、茨城県、高知県において、教師、保護者、SC、SSWによる実践(事例)について検討した。研究分担者がSC/SSWとして、連携に関わっているので、実践についてのデータは収集できた。しかしながら、担当者が援助している連携先の学校の問題が重大であったり、福島県では被災・転居に関連してまだ混乱のある場合もあり、「チーム援助に関わったコーディネーター、SC,SSWに対する半構造化面接・自由記述を行い、①教師・保護者、SC、SSWの連携による教育相談の促進要因・妨害要因を、②コーディネーション委員会のマネジメント促進機能、③チーム援助における役割分担意識について検討するという計画」が実施できなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、福島県、大阪府、茨城県、神奈川県において、チーム援助に関わったコーディネーター、SC,SSWに対する半構造化面接・自由記述調査により、①教師・保護者、SC、SSWの連携による教育相談の促進要因・妨害要因を、②コーディネーション委員会のマネジメント促進機能、③チーム援助における役割分担意識について検討する。そして先行研究とこの調査結果を基盤として、「教師、保護者、SC、SSWのチーム援助の促進要因・妨害要因」「コーディネーション委員会のマネジメント促進機能」「チーム援助における役割分担意識」からなる「チーム学校機能尺度」を作成する。研究開始時は平成30年度を予定していた、日本およびアメリカにおける比較調査は、平成31年度に実施する。ただし日米の調査先との準備(調査先との連携など)は平成30年度に行う。
|
Causes of Carryover |
教師、保護者、SC、SSWによるチーム援助に関わった、コーディネーター、SC、SSWに、チーム援助に関する実態と促進・妨害要因等についての半構造化面接・自由記述調査を行う予定で、調整を行った。しかしながら、担当者が援助している連携先の学校の問題が重大であったり、福島県では被災・転居に関連してまだ混乱のある場合もあり、平成29年度は調査を行うことができなかった。平成29年度に準備した学校等で、平成30年度に調査を行う。
|