2018 Fiscal Year Research-status Report
「チーム学校」の促進要因・妨害要因の日米比較研究ー教育相談の視点からー
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17K04367
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Research Institution | Tokyo Seitoku University |
Principal Investigator |
石隈 利紀 東京成徳大学, 応用心理学部, 教授 (50232278)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
家近 早苗 大阪教育大学, 連合教職実践研究科, 教授 (40439005)
田村 節子 東京成徳大学, 応用心理学部, 教授 (40549151)
鈴木 庸裕 日本福祉大学, 子ども発達学部, 教授 (70226538)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 教育相談 / スクールカウンセラー / スクールソーシャルワーカー / チーム援助 / チーム学校 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は福島県、大阪府、高知県、茨城県で、不登校・発達障害に関わる、教師、スクールカウンセラー(以下SC)、スクールソーシャルワーカー(以下SSW)、保護者のチームによる教育相談について、SC、SSW、校長、教育委員会の指導主事等に聞き取りを行った。「チーム援助の促進要因」「チーム援助の妨害要因」に焦点をあてた。福島県では、研究代表者石隈と分担者鈴木が、2018年5月、2019年1月に、SC、教育委員会の指導主事および児童子ども支援担当に聞き取りを行った。その結果、促進要因として、「教育相談スキルのあるコーディネーターのチームへの参加」、「校長のSC・SSW活用への理解」があった。大阪府では生徒指導担当に2018年6月、10月に聞き取りを行い、促進要因として「生徒指導担当教員のコーディネーション」、「地域の援助資源としての保護者のネットワーク」があった。茨城県では教育委員会の指導主事に、2018年10月、2019年2月に聞き取りを行い、促進要因として「保護者と学校の関係が悪い場合のSSWの活用」があげられた。高知県では8月に教育研究所所長に聞き取りを行ったところ、促進要因として「校長のSC・SSW活用への理解」「養護教諭のコーディネーション」があげられた。妨害要因は、各県共通して、「SC・SSWの勤務時間数の不足」「SCとSSWの専門性への理解不足」があげられた。 また11月アメリカ、カリフォルニア州サンディエゴにおいて比較調査の協力者(Dr.Robinson-Senerutoら)と面会し、調査実施についてアメリカの協力者チームを形成するとともに、調査の進め方について検討した。アメリカの学校では、教育レベルの格差、援助サービスの格差が、各学校区および学校間で大きく、サンプルの選択に工夫が必要であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者と分担者が福島県、大阪府、茨城県、高知県において、チーム援助の促進要因・妨害要因に関する聞き取りを行ったが、その結果をもとに「チーム学校機能尺度」を作成して実施するところまでいかなかった。その理由として、分担者が聞き取りの協力を得る関係者の学校での状況や福島県での被災・転居に関連する混乱がまだあったことにより、聞き取り調査が遅れたことがあげられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、平成29年度、30年度の研究結果を踏まえて、「教師・SC・SSW・保護者のチーム援助の促進要因・妨害要因」「コーディネーション委員会の機能」「チーム援助における役割分担意識」からなる「チーム学校機能尺度」を作成し、福島県、茨城県、神奈川県、大阪府において、調査を実施する。調査対象は小・中・高等学校の教師・SC・SSW・保護者であり、各県教師50名(計200名)、SC30名(計120名)、SSW20名(計80名)を予定している。カリフォルニア州サンディエゴでは、教師40名、スクールサイコロジスト20名、SSW20名を予定している。
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Causes of Carryover |
教師、保護者、SC、SSWによるチーム援助の促進要因・妨害要因についての聞き取りを行った。しかし担当者が援助している連携先の地域での問題が重大であったり、福島県では被災・転居に関連してまだ混乱のある場合もあり、聞き取り調査が遅れ、質問紙(尺度)の作成と調査が実施できなかった。質問紙の作成と調査は、2019年度に行う。同時にアメリカでの比較調査も、2019年度に行う。
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