2018 Fiscal Year Research-status Report
学校危機予防教育のサイクル型支援フレームワーク構築とデフォルトインストールの実現
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17K04373
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
渡邊 弥生 法政大学, 文学部, 教授 (00210956)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西山 久子 福岡教育大学, 大学院教育学研究科, 教授 (80461250)
小林 朋子 静岡大学, 教育学部, 教授 (90337733)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 学校危機予防 / ソーシャルスキル / ポジティブ感情 / 学校 / 学級の雰囲気 / レジリエンス / 感情 / 居場所アイデンティティ |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度において、つぎの研究に着手した。 (1)学校の雰囲気のポジティブ化について:いじめや暴力の場面を引き起こしそうな環境はいまだ放置されていることが少なくない。学校の雰囲気が、子ども達だけでなく、学校スタッフにも心理的な影響を及ぼしていることは学術的にも指摘されているが、その効果をみている研究は少ない。そこで、あたたかみのある色合いや居場所になるような利用のしかたに取り組むべく学校環境を観察し、管理職の先生に相談し環境の改善を行なった。居場所アイデンティティについて成果が得られたことについて、「感情の正体」(筑摩書房)の単著にまとめることができた。 (2)ソーシャルエモーショナルラーニングの導入:子供たちが、危機に対するレジリエンスやソーシャルスキルを獲得できるようSELを実施した。感情のボキャブラリーを豊かにしたり、ネガティブな感情をポジィテイブに変えるレッスンを実施したり、あたたかい言葉をかけるソーシャルスキルを学ばせたりして、日常生活における意欲や姿勢を前向きにする対応をしてきた。その結果をもとに、学会発表だけでなく、感情力を高めるスキル集(感情力をアップアする本、合同出版)を刊行した。 (3)学校危機想定シミュレーションの実施:災害、自殺などその他の危機対応のシミュレーショントレーニングを考えた。時系列の支援の変化、どの範囲まで連携するか支援の輪としての対人関係の広がりなどの妥当性を検討した。現在、舞台芸術の仕事をされている方に、シミュレーションキットを作成依頼している状況である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)学校の危機予防のシミュレーションが、キットやアセスメントが手軽にできる仕方で、実施できるように「見える化」しようとしている。千代田区のいじめ予防第三者委員会でも、危機予防の方法についてアメリカのシステムを紹介し、日本でもシミュレーションを実施することを勧めている。養護教諭1000名以上を対象に実施した学校危機アセスメントの分析を進行中であるが、活用してきた尺度の信頼性と妥当性がおおよそ検証されている。 (2)ソーシャルエモーショナルラーニングの枠組みで、様々な授業や教育支援ができるように教材になるものや考え方をまとめた著書を出版できたことから、関心を持っていただける学校や地域の活動に応用していきたいと考えている。大阪の学校と計画中である。またモデリングのビデオを作成できるかどうか検討中である。 (3)居場所アイデンティティという、子供にとって学校が「ワクワク」した居場所になる事も学校危機予防の一環になるのではと考え、安心・安全な場所作りを企画中である。 以上のことを踏まえながら、今年は、インドネシア、スイスの国際学会で発表するほか、国内でも教育心理学会、心理学会での企画シンポジウムを展開する予定である。 (4)千代田区の教育委員会で、学校危機予防のデフォルトにする必要のある取り組みについてレクチャーし、一定の理解を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)学校危機予防のシミュレーションならびにアセスメントについては、キット作成を完成させ、いくつかの学校でシミュレーションをしてみる予定である。またアセスメントについて信頼性および妥当性が検証されたので、論文にまとめるほか、学会で発表予定である。 (2)ソーシャルエモーショナルラーニングを普及するために、いくつかの学会でシンポジウムを企画中であるほか、まとめた本をもとに、さらに、具体的な授業の普及と効果を検討していく予定である。成果の出ている授業については、英文雑誌に投稿予定である。共感性と感情リテラシーについての論文と、SEL実践の効果についての論文を準備している。 (3)居場所アイデンティティについては、学際的に、空間デザインや建築の方々と交流しながら、取り組む人たちのやる気を高めることが、子供達のワクワク感を高めることに繋がることが期待されるため、さらなる新しいアプローチを考えたい。
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Causes of Carryover |
国際学会に複数参加したことや、学会の成果発表を精力的に行ったこと、さらには、調査活動にオンラインなどを使用した結果、予定していた額よりも多い予算が必要となったため請求した。目標にしていた内容が、順調に進んだということであり、最終年度は総括的な活動として、国際学校心理学会の発表のために使用したい。
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[Presentation] How children perceive, learn,and understand emotion? Emotional development from early to middle childhood2018
Author(s)
Watanabe,Y.,Hamana,M.,Watanabe,N.,Iida,J and Mizoguchi,A
Organizer
40th International School Psychologists Association
Int'l Joint Research
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