2019 Fiscal Year Annual Research Report
The effects of the accuracy of explainer's monitoring on the explaination contents.
Project/Area Number |
17K04374
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
伊藤 貴昭 明治大学, 文学部, 専任准教授 (20550445)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 説明 / モニタリング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,説明活動における説明者の認知プロセスに焦点を当て,説明に影響を与える要因を検討することであった。第一に,説明者の理解モニタリングの特徴を検討すること。第二に,理解モニタリングと説明内容の関係を検討すること。第三に,実践の場においてそれを適用することであった。 本研究では,まず新たな学習材料を開発したのち,大学生31組を対象に実験を実施した。具体的には聞き手の条件の違いによって,いかに説明内容が影響を受けるか,またそれが理解促進に影響を及ぼすかを検討した。その結果,聞き手が内容について未知な状況における説明が理解促進に寄与することなどが示された。したがって,説明者が聞き手の理解モニタリングをしなければならない状況が説明を精緻化する要因となっていることが示唆された。 また,説明者の理解モニタリングの正確性について検討を加えたところ,説明者は必ずしも正確に聞き手の理解状況を把握できているわけではないことも明らかになった。しかし一方で,正確性そのものと説明内容との明確な関連性は見いだすことができず,これについては課題として残された。 最後に,実践の場における説明活動にこれらの知見を反映させるため,言語活動の充実を課題として掲げる学校の研究授業に参加した。現場の教員との議論を通して,言語活動が形だけの活動になっている点などが明示的なものとなった。本研究の知見を現場の活動にどのように適用していくかは今後引き続き検討していく必要があるが,認知プロセスに焦点を当てた知見に基づき,実践の場でそれを適用していくことの意義は確認できたと考えられる。
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