2017 Fiscal Year Research-status Report
Comprehensive Study of Lifelong Development of Personality
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17K04376
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
小塩 真司 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (60343654)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | パーソナリティ / ビッグ・ファイブ / 適応 / 年齢 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,パーソナリティが適応に及ぼす影響について詳細に検討することを通じて,パーソナリティそのものの発達の意味を明らかにしようと試みるものである。そのため,第1にパーソナリティと適応との関連に対する年齢の調整効果,第2にパーソナリティと適応との関連に対する地域の調整効果,そして第3にパーソナリティや適応指標の時代変化について検討することを目的としている。 Oshio (2017, ARP)では,Big Fiveパーソナリティと自尊感情との関連に対して,年齢の調整効果を検討した。1515名の日本人成人を対象にした調査データを分析した。階層的重回帰分析によって,次のことを明らかにした。全年齢において自尊感情に対し神経症傾向は負,外向性,開放性,協調性,勤勉性は正の有意な影響を示した。また神経症傾向と勤勉性については自尊感情に対する年齢との交互作用効果が有意であり,年齢がより若い者のほうが年長の者よりも自尊感情と神経症傾向,勤勉性の結びつきが強かった。この結果は,年齢によってパーソナリティの適応的な側面が異なる可能性を示している。 またOshio, Taku, Hirano, & Saeed (2018)では,レジリエンスとBig Fiveパーソナリティの関連についてメタ分析を行った。論文データベースを検索し30研究を分析に用いた。レジリエンスとの母相関係数は,神経症傾向で-.46,外向性で.42,開放性で.34,協調性で.31,勤勉性で.42であった。また,心理的レジリエンスとエゴ・レジリエンスの結果を分類したところ,神経症傾向と開放性においてエゴ・レジリエンスのほうが心理的レジリエンスよりも関連が強い様子が示された。これらの検討は,パーソナリティと適応の基礎的な知見を提供するものであると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該研究課題の研究成果については順調に公開されており,研究知見も順調に蓄積されている。特にパーソナリティと適応に関する研究知見および年齢を伴う調整効果については,研究成果も公表されている。今後は,地域の調整効果や時代変化についてさらに研究を蓄積し,順次公表する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後においても,これまでの研究を引き続き発展させる方向で研究を推進する。 平成30年度はweb調査を実施するとともに,時間横断的メタ分析に必要な資料を継続的に収集する予定である。また並行してこれまでに収集したデータを学会発表や論文として公表する準備をすすめる。また,得られた研究知見を理論的に統合する試みも始め,最終的な研究知見へとつなげる。
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Causes of Carryover |
研究代表者が特別研究期間中であり長期海外滞在をしていたことから必要最小限の使用にとどまっていたことから生じた。次年度使用額は研究計画に基づき,調査委託を通じてより効果的な調査を行うための経費として使用する予定である。
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