2019 Fiscal Year Annual Research Report
Comprehensive Study of Lifelong Development of Personality
Project/Area Number |
17K04376
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
小塩 真司 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (60343654)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | パーソナリティ / 適応 / 時代変化 |
Outline of Annual Research Achievements |
心理変数の時代変化の検討を可能にする手法のひとつが,時間横断的メタ分析(cross-temporal meta-analysis)である。これは,心理学的概念の時代に伴う変化を明らかにするための一手法であり,調査年ごとに平均値等の統計量を統合するメタ分析である。そこで,YG性格検査の平均値を収集して時間横断的メタ分析を施すことにより,日本におけるパーソナリティ特性の広い範囲の時代変化を検討することを試みた。また,自尊感情の時代変化とYG性格検査の時代変化の類似性を検討するために,小塩他(2014)で収集されたRosenbergの自尊感情尺度の平均値を用いて,YG性格検査の平均値の時代変化との一致度を検討した。論文データベースJ-STAGEおよびCiNiiで検索を行った。検索結果に表示された論文からYG性格検査を使用している文献を選定した結果,459本の文献を得た。内容の検討を行った結果,95本の文献が選定された。結果より,パーソナリティは時代に伴って曲線的な変化を示しており,特に1990年頃を境に,それ以降は情緒不安定的かつ非活動的な方向に進んでいることが示された。また,1980年代以降の変化は自尊感情の時代変化とも関連しており,先行研究で示された時代変化が他の尺度でも見られることが示された。 本研究期間に行った研究を通じて,時代によって日本人全体のパーソナリティが徐々に変化している可能性が示された。また,個別の習慣的行動にパーソナリティが関連することも示されている。全体として,パーソナリティの適応的な意味について,考察を深めた。
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