2017 Fiscal Year Research-status Report
情動反応性・情動制御性に係る気質と自己制御行動との関連:学齢期における縦断研究
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17K04377
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
水野 里恵 中京大学, 心理学部, 教授 (10321019)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 気質 / 情動反応性 / 情動制御性 / 自己調整学習行動 / 対人場面での自己制御行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)乳児期から研究室プロジェクトに参加している学齢期に達した2010年出生コホートの53名を対象に質問紙調査を実施した。測定項目は,情動反応性・情動制御性に係る気質,子どもの自己調整学習行動を支える養育態度,子どもの対人場面での自己制御行動である。気質測定項目はTemperament in Middle Childhood Questionnaireを翻訳して使用した。使用した気質次元は,活性化コントロール,主張性/優位性,注意の焦点化,恐れ,強度の高い刺激に対する喜び,衝動性,抑制コントロール,強度の低い刺激に対する喜び,知覚的敏感性,シャイネスの10次元である。乳児期から実施した5回の質問紙調査による気質測定のすべてのデータが揃った50名(男児19名,女児31名)を対象とし,情動反応性・情動制御性に係る3つの気質特性(行動的抑制傾向,エフォートフル・コントロール,接近快活性)の安定性・変容性の検討を行った。乳幼児期にエフォートフル・コントロールが高い子どもほど学齢期に高いエフォートフル・コントロールをしめすこと,乳幼児期に行動的抑制傾向にない子どもほど学齢期の接近快活性が高くなっていることから,情動反応性・情動制御性に係る気質には安定性があると考えられた。この成果については2018年開催の日本教育心理学会で発表する。 (2)2010年出生コホートを10名を対象に,対人場面での自己制御行動に子どもに尋ねる面接調査,学習活動に集中できるかについて実験的行動観察調査を行った。 (3)全国の2010年出生コホート(第一子)531名を対象に,研究室プロジェクトコホートに実施した質問紙調査内容と同一の内容でウェブ調査を実施した。ウェブ調査の気質測定項目と対人場面での自己制御行動測定項目とのデータ分析を行った。この成果については2018年開催の日本心理学会で発表する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り,研究室プロジェクト参加者(7歳児)に対する質問紙調査と子どもに対する面接調査・実験的観察調査,全国から抽出した2010年出生コホートに対するウェブ調査が完了した。収集したデータの一部については分析を終え,2018年開催学会での発表を行う予定で申し込みを済ませた。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)今年度収集したデータの自己調整学習の関するデータ分析を行い,成果について学会発表を行う。研究室プロジェクト参加者の乳児期からの縦断データの総合分析を行い,成果を論文にまとめる。 (2)研究室プロジェクト参加者への8歳時点での追跡調査を実施する。子どもの自己調整学習行動の調査はフィールド調査を含めることを予定しているので,フィールド調査を実施したり研究協力者との日程調整にあたる要員への教育・訓練などを徹底したい。全国抽出の2010年出生コホートに対するウェブ調査は縦断データを収集したいと考えている。
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Causes of Carryover |
質問紙調査・実験的観察調査・ウェブ調査と3つの調査を実施してデータ収集を行ったが,分析にかける充分な時間がとれなかった。次年度は,今年度収集したデータの分析を行い学会発表や論文執筆を行う予定である。ゆえに,旅費・校閲費などに使用する予定である。
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