2020 Fiscal Year Research-status Report
情動反応性・情動制御性に係る気質と自己制御行動との関連:学齢期における縦断研究
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17K04377
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
水野 里恵 中京大学, 心理学部, 教授 (10321019)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 学習場面での自己制御行動 / 学習方略 / 対人場面での自己制御行動 / 自己効力感 / 親の養育態度 / 親の学習支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
2010年出生の第一子986名を対象に,子どもの学習方略,学習動機づけ,自己効力感についてウェブ調査を実施した。同時に,養育者については日常の子どもに関わる態度について尋ねた。この協力対象者には,2015年以降3回実施している縦断研究対象者が含まれており,幼児期の非認知能力(社会的場面での自己制御行動)や気質的個人差との対応が可能となっている。2020年データ(986名)の分析からは,親が子の生活習慣の形成を心がけるほど子どもは勉強が自分にとって重要なものであると感じる傾向にあること,すなわち,学習動機の同一化調整が強くなること,子ども自身の自己効力感が強いと多様な学習方略を試みることなどが示された。今後,過去3回の縦断データと統合して分析を行うことで,幼児期から学童期にかけての自己制御スキルの発達の様相を明らかにできると考えている。 研究室コホートについての行動観察による縦断データの収集は,コロナ感染症のため,実施を断念した。 2010年出生コホートの3回のウェブ縦断調査データ(2015年,2018年,2019年)分析の結果,就学前期に子どもが示す対人場面での自己制御行動に応じて,母親は,子どもが就学後必要になる学習活動への支援のしかたを変えていること,そうした母親の支援に支えられて,子どもの学習態度は形成されているらしいことが推察された。また,子どもの対人場面での自己制御行動に示されるスキルがその後の学習面でのスキルへ結実した可能性も示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ感染症のため,研究室コホートの行動観察が実施できなかったこと,教育活動(オンライン教材の作成)に時間を多く割くことになりデータ分析に遅延を来した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究室コホート,ウェブ調査対象の2010年出生コホート,双方の縦断データの分析を行い,成果発表を行う。 研究室コホートに関しては,状況を見て,追跡の行動観察を実施したいと考えている。
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Causes of Carryover |
コロナ感染症のため,研究室コホートの行動観察を実施することができず,ウェブ調査対象コホートのデータ分析も,教育活動に時間がとられて進めることができなかった。 2つの2010年出生コホート(研究室コホート,ウェブ調査コホート)の縦断データを統合的に分析し,子どもの対人場面・学習場面での自己制御行動の発達の様相を解明する成果発表につなげたい。学会発表,論文作成のために経費を使用する。 研究室コホートについては,追跡の行動観察を実施したい。そのため,研究参加者(子どもとその親)への謝金,行動観察実施のための経費に使用する。
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