2017 Fiscal Year Research-status Report
他者軽視傾向が成人期初期の職場適応に及ぼす補償的効果の検証
Project/Area Number |
17K04380
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Research Institution | Nihon Fukushi University |
Principal Investigator |
小平 英志 日本福祉大学, 子ども発達学部, 准教授 (00442228)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 他者軽視 / 仮想的有能感 / 卒業時 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では、近年、職場うつ、早期離職、自死などの様々な形で問題が顕在化してきた職場適応期に焦点を当て、他者軽視の補償的効果が見られるのかどうかを検証することを目的とした。具体的には、a)前課題で予定していた最終年度調査を実施し、大学生活4年間の縦断データの解析を通して、大学適応と段階的社会参加における他者軽視の補償的効果を検証する(H29年度)、b)就職1年目、2年目をフォローした調査を行い、成人期初期を含んだ6年間の縦断データを解析することで、職場適応期における他者軽視の補償的効果を検証する(H30、H31年度)、c)縦断調査で得られた結果に、ある程度の頑健性があることを確かめるため、データ収集会社を利用し、高卒就職者を対象者に含めた追試的検討を実施する(H32年度)の3点の検討を行うことを計画している。 本年度はaの検討が中心であったが、予定通り4年生を対象とした調査を実施することができた。前課題ですでに大学在籍時の3時点のデータを収集していたため、これで4年間の縦断データの構成ができたことになる。また、今年度に収集したデータは、bの検討である就職1年目(Time 5)、2年目(Time 6)の追跡調査のベースラインのデータとなる。 上記の調査の実施に加えて、今年度は昨年度実施した社会人対象の調査の解析を進め、Time 5調査以降で使用する社会的被受容感尺度の整備を進めた。その成果は日本青年心理学会第25回大会で発表された。さらにTime 3とTime 4のデータを用いて、他者軽視傾向と自己形成意識・自己変容の志向性との関連を解析し、他者軽視傾向と模倣志向との間に負の相関関係が安定的に確認されること、そこに短期的な因果関係は認められないことが明らかとなった。この成果については、日本福祉大学の『現代と文化』136号に論文が掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通りTime 4の調査を終え、これまでのデータを用いた研究成果の発表、論文化を進めることができているため。
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Strategy for Future Research Activity |
就職1年目にあたるTime 5の調査は、これまでと異なり、郵送調査となるため、郵送手続き等、早い段階で準備を進めていく予定である。また、これまで通り、蓄積したデータの解析を進め、学会発表及び論文化を行っていく。
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Causes of Carryover |
主にデータ入力やデータ整理の人件費が計画より安価であったことによる。繰越については、次年度の郵送調査の経費(郵送費、郵送手続きの人件費)として使用する。
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