2017 Fiscal Year Research-status Report
大学生におけるラーニングアウトカムの発達軌跡を規定する要因
Project/Area Number |
17K04384
|
Research Institution | Kyoto Notre Dame University |
Principal Investigator |
尾崎 仁美 京都ノートルダム女子大学, 現代人間学部, 准教授 (10314345)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松島 るみ 京都ノートルダム女子大学, 現代人間学部, 教授 (40351291)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 大学生 / 学習成果 / 大学教育 / 縦断調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、入学時から3年間の縦断調査を行うことにより、大学生活におけるどの様な学び方、過ごし方が、学生の成長や学習成果(ラーニングアウトカム)に影響するのか、そのプロセス及びメカニズムについて解明する。 平成29年度は、ラーニングアウトカム、授業経験および授業への取り組み、大学授業観、マスタリー目標、友人との学習行動、大学生活における重視活動から構成される質問紙を作成し、本年度入学生を対象として、前期末(第1回調査)と後期末(第2回調査)に質問紙調査を実施した。分析に先立ち、使用した尺度の検討を行うため、前年度に実施した調査データについて各尺度の因子分析を実施した。ラーニングアウトカムについては、社会的関係形成力、情報リテラシー、問題解決力、自律性、外国語運用力、自己主張力、科学的知識の理解、母国語運用力の8因子が抽出され、各下位尺度の信頼性についても十分な値が得られた。また、ラーニングアウトカムと他の変数との関連について検討した結果、授業に対して積極的意義を見出している者や授業内外で自律的に学習に取り組んでいる者は、授業を通して多様な力を身に着けていることが示された。さらに、授業の捉え方によってラーニングアウトカムに影響を及ぼす授業の取り組み方に差異があることも示唆され、授業に様々な積極的意義を見出している学生は、自律的な学びによってラーニングアウトカムを獲得する傾向にあること、授業を義務・退屈なものと捉える学生は、ディスカッション中心の能動的授業や授業外学習の取り組みがラーニングアウトカムの獲得につながることが示された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の特色の1つは、大学入学時から3年間にわたって年2回(前期末および後期末)の縦断調査を行うという点にある。平成29年度の計画は、本年度入学生を対象として、質問紙による縦断調査を開始することであった。調査の実施に際しては、所属機関の研究倫理審査委員会に申請し、承認を得た。前期末に第1回調査、後期末に第2回調査を実施し、尺度構成についての検討を行った。今後は、各変数における変化のパターンや変数間の関連について分析を進めていく予定である。 本研究の中心的役割を担う縦断調査について、大学1年生対象の質問紙調査が実施できたことから、概ね当初の計画通り進行しているといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成29年度に引き続き、30年度においても、同じ調査対象者に対する同内容の質問紙調査を前期末(第3回調査)と後期末(第4回調査)にそれぞれ実施する。また、縦断調査の実施と並行して、第1回調査と第2回調査のデータについて、ラーニングアウトカムと各変数との関連を検討し、各時期におけるラーニングアウトカムの関連要因について検討する。また、第1回調査と第2回調査における得点の変化に着目し、ラーニングアウトカムの変化にどのような要因が関連しているのかについても検討する。さらに、第1回、第2回調査の分析結果から得られたラーニングアウトカムの変化パターンにより、各群の対象者について半構造化面接を行う。対象者に対しては、本研究の目的や内容、倫理的配慮に関する説明を十分に行ったうえで、大学生活における成長感およびその背景の活動について聴き取る予定である。
|
Causes of Carryover |
縦断調査は予定通り実施できたが、尺度構成の検討に関する分析に時間を要し、国内外の学会での成果発表ができなかったため、次年度において、研究成果発表のための学会参加の旅費に充てる予定である。
|
Research Products
(2 results)