2017 Fiscal Year Research-status Report
神経発達障害にともなう視覚情報処理困難の支援に向けた神経心理学的検討
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17K04387
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
加戸 陽子 関西大学, 文学部, 教授 (10434820)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
眞田 敏 広島文化学園大学, 学芸学部, 教授 (60098126)
荻野 竜也 中国学園大学, 子ども学部, 教授 (90335597) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 神経発達障害 / 書字のつまずき / 視覚的情報処理 / Rey複雑図形検査 / 神経心理学的検査 |
Outline of Annual Research Achievements |
限局性学習障害のみならず、自閉症スペクトラム障害や注意欠如/多動性障害においても書字のつまずきを抱える例があり、留意される。本研究は、神経発達障害をともなう子どもが抱える書字困難の中でも、視覚的な情報処理に関わる認知特性の問題に起因した書字のつまずきに対し、神経心理学的評価法によってその背景にある視覚情報処理過程の解明を行い、エビデンスにもとづく効果的な教育的支援の実践に資することを目的とする。 本年度はまず、研究分担者らの協力によって書字に関連すると考えられる神経学的兆候に関する臨床評価シートを作成した。また、奥村ら(2013)による「学童期用視覚関連症状チェックリスト(見る力に関するチェックリスト)」についても著者の許可を得た上で本研究の検討に加えることとした。次に、研究分担者らによって書字に関する評価が必要と判断され、保護者から本研究協力への同意を得た小児を対象に、神経心理学的検査の1つであるRey複雑図形検査(Rey-Osterrieth Complex Figure)、K ABC-Ⅱ(習得検査)およびWISC-IVを実施し、データの集積を開始した。さらに学校教員や療育機関職員を対象とした講演や学習会、ワークショップにおいてRey複雑図形検査を適用した書字につまずきを抱える症例をとりあげ、その認知特性と支援の視点、各種心理アセスメントを組み合わせた実態把握に基づく支援の重要性について報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は書字につまずきのある小児を対象に、各種心理検査(Rey複雑図形検査、K ABC-Ⅱ習得検査およびWISC-IV)を実施し、データの集積を開始した。現在はデータの集積を行いつつ、書字と各種心理検査成績との関連性の検討、Rey複雑図形検査所見の分析方法の検討についても取り組んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き書字のつまずきを抱える小児を対象に、各種心理検査(Rey複雑図形検査、K ABC-Ⅱ習得尺度およびWISC-IV)を実施し、データの集積を行っていく。また、集積データに関しては描画特性と診断分類、神経学的徴候、K ABC-Ⅱ習得尺度およびWISC-IV成績との関連など検討を行っていく。
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Causes of Carryover |
概ね計画通りに遂行しているが、昨年度後半の本務校業務との関連でデータ収集のための出張日が確保できないことがあったことから残額が発生し、次年度に繰り越すこととした。この繰越金に関しては、2018年度の計画にあるデータの収集に関わる経費として使用する予定である。
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