2022 Fiscal Year Annual Research Report
Acquisition of scientific concepts through experience learning -- An Investigation of the educational effects
Project/Area Number |
17K04391
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Research Institution | Nishinippon Institute of Technology |
Principal Investigator |
山縣 宏美 西日本工業大学, デザイン学部, 准教授 (30461487)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 素朴概念 / 直落信念 / 顕在的知識 / 潜在的知識 / 科学的概念 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではまず,平成29年度に慣性の法則を理解状況を測定するために,大学生を対象に慣性の法則に関わる複数の課題を実施し,回答の一貫性について調査を行った。その結果,ペーパーテストにおいては,慣性の法則の理解状況を調べる際には,ゴンドラ課題の様に,日常的な状況よりは抽象性の高い場面で,物体自体の軌跡を選択肢から選ぶのではなく,軌跡自体を描くという課題が適していることが示唆された。 また,30年度は小学生を対象に同様の課題を実施した。その結果,水平移動するゴンドラから下にあるターゲットにボールを当てるために,どの位置で手を放すかという動作の意図を問う課題と水平移動するゴンドラから落としたボールがどのような軌跡で地面にたどりつくかを描く課題の回答が一貫したものでないケースが半数以上みられ,動作の意図を問われる場合と,客観的に軌跡を描く場合では,異なる知識にアクセスされている可能性が示唆された。 令和元年度以降は,大学生を対象に,直落信念と呼ばれる素朴概念の性質について,ペーパーテストによる顕在的課題とコンピューターのシミュレーションによって動くゴンドラからボールを落下させ,地面上のターゲットに当てる潜在的課題の2種類の課題を使用して検討した。潜在的課題を先に行った場合,のちの顕在的課題による解答と行動が一致していたが,顕在的課題を先に行ったところ,直落信念を持つ学生は,潜在的課題を先に行っていた学生より有意にボールを後で手放しており,単にターゲットの真上でボールを落下させるよう指示された学生と差が見られなかった。この結果から,直落信念という素朴概念が先に顕在化されると,その後の動作がそれに影響され,真上で手を放すようになるが,そうでない場合,顕在的には直落信念を回答しても,潜在的には正しく現象をとらえており,ボールを手前で手放しているということが示唆された。
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