2017 Fiscal Year Research-status Report
幼児におけるネガティブではない泣きの表出と理解の発達
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17K04393
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Research Institution | Kyushu Lutheran College |
Principal Investigator |
和田 由美子 九州ルーテル学院大学, 人文学部, 教授 (70302362)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 泣き / 幼児 / 感情 / 発達 |
Outline of Annual Research Achievements |
人は悲しい時,苦しい時だけでなく,うれしい時や安心した時にも泣く。このようなネガティブではない感情による泣き(以下,ネガティブではない泣き)は,一定の感情発達が達成された後に出現すると仮定されているが,その具体的な発達過程については明らかにされていない。本研究は,幼児期におけるネガティブではない泣きの表出と理解の発達について,幼児の保護者に対する質問紙調査と,幼児に対する面接調査によって明らかにしようとするものである。 平成29年度は,幼児の保護者に配布する幼児の泣きに関する質問紙の項目検討,およびネガティブではない泣きの理解の研究に使用する紙芝居のストーリーの検討を行うために,幼児におけるネガティブな泣きに関する予備調査の分析を行った。現役の保育士・幼稚園教諭76名を対象に,幼児においてネガティブではない泣きを直接観察した経験の有無,観察経験がある場合はその具体的なエピソードの内容について記述を求めた結果,ネガティブではない泣きの観察経験有りと回答した保育士・幼稚園教諭は67%で,合計82件のエピソードが集まった。エピソードのうち12件はネガティブな泣きと判断されたため除外した。また,卒園式に関するエピソード(30件)はもので,別れの悲しみ,泣きの伝染,歌への感動,親への感謝等,複合的な要因が関わっているエピソードが多く分類が困難なため除外した。 ネガティブではない泣きとして判断した40件を分類した結果,幼児において複数観察された例は【苦手の克服・成功体験(直接経験・間接経験)】【緊張の緩和・危機からの脱出(直接経験・間接経験)】【生命の誕生】【感謝】の4つに大きく分類できた。この結果をもとに,現在,保護者への質問項目および紙芝居のストーリーを作成している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定では,平成29年度後半に質問紙調査,平成30年度前半に面接調査を実施する予定であったが,質問紙調査で面接調査の参加者をリクルートするため,両調査は同一年度内で実施した方が効率がよいと考え,平成30年度の前半に質問紙調査,平成30年度の後半に面接調査を実施することとした。当初の予定と比べて半年間後倒しでの実施に変更したため「やや遅れている」と評価した。質問紙および面接調査のための紙芝居の準備は順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度前半に幼児の保護者に対する質問紙調査(幼児の泣きに関する調査)を実施し、その際に面接調査参加者(幼児)のリクルートもあわせて行う。平成30年度後半には、リクルートできた幼児を対象に、紙芝居のストーリーを用いて泣きの理解に関する面接調査を実施する予定である。保育所・幼稚園内での面接調査の実施が難しい場合は、大学内等での実施も検討する。
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Causes of Carryover |
平成29年度に実施予定であった質問紙調査を次年度に延期したため、質問紙調査に係る費用(印刷・封筒・切手・御礼の粗品)、データ入力への謝金等を次年度に繰り越した。また、面接調査のために平成29年度にipadを2台を購入予定であったが、面接調査準備段階のため、うち1台の購入を翌年度に繰り越した。平成30年度は質問紙調査に係る費用に助成金を使用するとともに、面接調査の際の場面記録用のデジタルビデオカメラ、面接調査実施協力者への謝金、感情心理学会での成果発表および日本心理学会での情報収集のために旅費を使用する予定である。
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