2017 Fiscal Year Research-status Report
児童養護施設における心理職による家族支援のための教育研修プログラムの構築と試行
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17K04403
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
田附 あえか 筑波大学, 人間系, 助教 (60550556)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 児童養護施設 / 心理職 / 家族支援 / 研修プログラム / 心理療法 / 環境への働きかけ / 子ども / 発達への援助 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度はまず児童養護施設における心理職による家族支援実施のための研修プログラム構築の下準備として,(1)児童養護施設における心理職の役割の全体像についての文献研究,(2)その全体像の中での家族支援の位置づけについての文献研究を実施し,これらをまとめて論文としてまとめた(平成30年4月現在印刷中,同年秋発行の日本家族心理学会年報第36巻に所収予定)。児童養護施設における心理職の役割を,心理療法・トラウマのセラピーや治療と,環境への働きかけという二つの観点にわけて検討した。環境への働きかけの核となる役割が家族支援であり,またその土台となる子どもの内的家族像への支援であると論じた。 これらの役割には,子どもの育ちを支えるという観点が通底している。子どもの育ちは,人格(自我)として生きる主体性を獲得することに主眼が置かれているが,同時に主体性を保ちつつも関係性の中で自由に生きる育ちとなることが必要であると論じた。児童養護施設において子どもとその家族への支援を行う上で,個人の育ちとその援助に関する理論とともに,関係性に関する理論や実践を学ぶ重要性を主張した。本研究が目指す研修プログラムにおいてこれらの内容が含まれる必要があることがわかった。 また現在継続している研究内容としては,(3)北米・ヨーロッパにおける子どもの施設ケア(institutional care)に関する文献研究,中でも入所児やその家族のアセスメントと家族支援に関する研究の実施,(4)わが国で児童養護施設に入所している子どもとその家族についての分析と効果的な支援方法の模索を行うため,実践事例の収集とそのデータ化,(5)児童養護施設においてすでに家族支援を実施している心理職を対象とするインタビュー調査を実施するために,倫理審査における承認を経て,現在インタビューを実施している点,の3点があげられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の申請時に計画したインタビュー調査は予定通りに実施されている。申請時には計画していなかったが,研究の経過で必要だと感じられたため,国内外の文献研究や事例分析も研究計画に加え,より視野の広い研究が進められていると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は,昨年度から継続して(1)北米・ヨーロッパにおける子どもの施設ケア(institutional care)に関する文献研究,中でも入所児やその家族のアセスメントと家族支援に関する研究の実施,(2)わが国で児童養護施設に入所している子どもとその家族についての分析と効果的な支援方法の模索を行うため,実践事例の収集とそのデータ化,(3)児童養護施設においてすでに家族支援を実施している心理職を対象とするインタビュー調査の実施,を行う。(1)は学術論文としての報告を予定している。(2)はデータ化された資料を分析し,児童養護施設に入所している家族の分類を試み,それに対応した心理職による家族支援のあり方のモデル化を行う。(3)はインタビューを行いながら言語化資料のデータ化と分析を行う予定である。そして,(4)これらの結果に基づき,次年度に実施予定の研修プログラムの構築とその検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
ノートパソコンを購入予定だったが、適応機種が在庫切れだったために次年度に延ばした。次年度,在庫があり次第購入予定。
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Research Products
(3 results)