2018 Fiscal Year Research-status Report
児童養護施設における心理職による家族支援のための教育研修プログラムの構築と試行
Project/Area Number |
17K04403
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
田附 あえか 筑波大学, 人間系, 助教 (60550556)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 児童養護施設 / 家族支援 / 児童虐待 / 家族療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は(1)児童養護施設に関する海外における先行文献および,国内の家族療法に関する歴史を整理すること,(2)児童養護施設における家族支援の実践事例を分析すること,(3)児童福祉関係機関において,家族支援研修に関する期待や必要事項を把握するために質問紙調査を実施すること,(4)継続して実施されている施設心理職への家族支援研修に関するインタビュー調査,および(3)の質問紙調査であげられた項目から組み立てた研修の試行をし,質問紙を用いて検討すること,を行った。 まず,研究(1)では,児童養護施設の家族支援に関するキーワードから海外文献20件を抽出してレビューを試みた。その結果,施設における家族支援は,子どもの治療プログラムへの参加協力型,子どもと実親のつながりを強くするための関係づくり型,および家族あるいは親の変化をもたらすための治療型の3種があると考えられた。 研究(2)では,20XX年代の5年間に児童養護施設Aに入所していた児童とその家族を対象に、心理臨床的援助活動を通して得られた情報を用いて、質的分析法および統計的手法を使ってカテゴリー化した。抽出されたカテゴリーは「養育への固執」「祖父母世代の関与」「親の不安定」と名付けられた。 研究(3)および(4)の質問紙調査は,A(2回)とB(1回)の2つの機関における計3回の研修に出席した95名を対象に実施された。実践的なアセスメントや面接技術に関するニーズが高かったため,面接場面を収録したDVDおよび模擬事例を通して,家族理解のアセスメントや実践的ロールプレイに関する研修を実施した。研修終了後にアンケート調査を実施したところ,「家族理解が深まった」のYES群が95.0~96.1%,「もっと家族にかかわってみようと思った」のYES群が88.0%~92.3%となり,模擬事例を用いた研修には一定のニーズと役割があることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時の計画通りにおおむね進んでいる。研修のニーズとしては具体的な実践的な場面に関するニーズが高かったため,理論的な内容を伝えるときも実践に沿った内容で伝える等,当初の予定とは変更してプログラム構築を検討する必要性を感じている。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は,児童養護施設における研修プログラムの構築と検証を行う。そのために,(1)プログラム内容を最新のものにアップデートするために,引き続き内外の先行研究のレビューを行う,(2)本年度実施した実践事例の分析・分類に基づいて,心理臨床的援助の支援方針を提示できるよう整理する,(3)実際に研修プログラムを実施し,質問紙およびインタビューによって内容を精査する,といった内容を継続する。
|
Research Products
(4 results)