2019 Fiscal Year Research-status Report
クライエントのニーズと選好を尊重した臨床心理援助実践のあり方に関する総合的研究
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17K04411
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Research Institution | Komazawa University |
Principal Investigator |
藤田 博康 駒澤大学, 文学部, 教授 (80368381)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大堀 彰子 帝塚山学院大学, 人間科学部, 教授 (20460941)
広瀬 隆 帝塚山学院大学, 人間科学部, 教授 (60419819)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 協働的心理支援 / 統合的心理支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までの研究成果を踏まえて、主要な心理支援手法の基本的な考え方、作用機序、具体的介入手法等を、どんな問題にどんな手法が効果的かという観点から体系的に捉えなおし、さらに、人々の苦悩やストレスへの対処としての一般的取り組み、セルフヘルプスキルなどの日常生活上の知見と専門的支援との接点を見出し、両者を統合した心理援助のあり方について検討した。 人びとが心理支援を必要としている際、その方法は、相手によって、そのときどきのありようによって適不適がある。専門的伝統的な心理支援手法であっても、それぞれが目指す治癒や改善への方向性やそのイメージはさまざまであり、例えば、ありのまま(being)を重視するセラピーでも、それを共感的対人関係の中で育もうとするのか、今ここの瞬間を実感することを重視するのかなどの違いがある。あるいは、過去のトラウマや不快な記憶の扱いでも、意識下の心理力動を、言葉を頼りに理性的に洞察しようという立場もあれば、なるべくそのことばかりに気を取られないような気晴らしや気逸らしを推奨する立場、あるいは、それを俯瞰する立脚点に立ちそれらに巻き込まれないようにする方法などもある。また、日々の現実的なレベルの変化や改善を重視する立場もあれば、心の深層やスピリチュアルな次元での変化を重視する立場もあり、さらに、その深い次元へのアクセスの仕方も、ゆっくりと長い時間をかけていく方法と、何らかのチャンネルを通じて短期に次元を超えようとする方法などさまざまなバリエーションがある。 以上のようなことを踏まえて、研究分担者、研究協力者らで、相手のニーズや選好を尊重しつつ、援助効果を最大限に高めるような実践のあり方について実務を踏まえた検討を行っている。 また、広く一般向けに、研究成果を踏まえた、苦悩からの回復やウエルネス向上といった観点からの情報提供にも取り組んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者、研究分担者がともに、本務先大学の公認心理師カリキュラムへの対応や役職業務等にエフォートを割かざるを得ない状況があったことに加え、年度終盤からは新型コロナ問題により、研究活動や研究会議、学会発表などが中断している状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
公認心理師、臨床心理士等、心理支援の専門家らに対する、セラピストの抱くクライエントの「ウエルビーイング」のイメージ、提供可能な援助介入手法、その作用機序等と、クライエントのニーズや問題との適合性やその効果に関する研究を、質的手法を中心にして引き続き行う。 これまでの研究成果を学会や研究会等で公表するとともに、大学院教育やケーススーパービジョン、事例研究会のあり方などを検討する 研究成果を踏まえての、一般向けのメンタルヘルスの保持・増進に関する書籍などの執筆、その他の手段での情報発信を行う。
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Causes of Carryover |
当該年度に予定していた研究代表者、研究分担者、研究協力者間の対面によるミーティングや研究会議、および、外部の心理支援の専門家を対象とした研究会などが十分にできなかったため。
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[Book] 家族の心理2019
Author(s)
平木典子・中釜洋子・藤田博康・野末武義
Total Pages
209
Publisher
サイエンス社
ISBN
978-7819-1448-0
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