2020 Fiscal Year Research-status Report
高齢者のライフレビューが生起するとき―奏功機序の解明と技法論の構築に向けて―
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17K04424
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
林 智一 香川大学, 医学部, 教授 (70274743)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 高齢者 / ライフレビュー / 介護老人保健施設 / 奏功機序モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
1.研究協力者の募集・ライフレビュー面接の実施・本年度の面接者数 介護老人保健施設に依頼し、研究協力者を募集した。しかし、本年度は、新型コロナ禍のため、施設内への部外者の訪問が禁止されていた。よって、面接調査ができず、本年度の面接者数は0であった。 2.研究成果の公表 上記のような状況の中、前年度までのデータをもとにした研究成果の公表は、これまで通りに行った。学会発表として、「高齢者のライフレビューに見られた子孫との心理的紐帯に関する一考察―なぜ肯定的に語られるのか―」(日本家族心理学会第37回大会)、「研究としてのライフレビューにおいて潜在するこころの傷をいかに扱うか ─救急的にケアして「語らないことで語られること」を聴き取る─」(日本健康心理学会第33回大会)、「ライフレビューにおける高齢者の否定的な語りをどう聴くか -研究としての面接において語ること・語らないこと、そしてそれを聴くこと・聴かないこと-」(日本心理臨床学会第39回大会)、「ライフレビューで語られた男性高齢者の戦争体験をめぐる臨床的考察―聴き手として体験することを事例研究化する試み―」(日本老年臨床心理学会第3回大会)の、計4回の発表を行った。論文として、「高齢者のライフレビューにおける心的防衛をどう取り扱うか―研究のための面接で語らないことの自由と権利、そして語らないことで語られること―」(香川大学教育学部研究報告第4号)の1本を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナ禍のため、本年度計画していた認知症高齢者に対するライフレビュー面接が実施できなかった。次年度の最終年度も、新型コロナ禍の状況がどうなるのか予想できず、データ収集に関しては遅れを取り戻せるかどうか不明である。 ただし、過去の3年間で、認知症以外の心理的に健康な高齢者に対するデータは、集積されている。したがって、一部、当初の研究計画を変更して、認知症高齢者のライフレビューに関する検討を実施しないこととすれば、当初の目的の大半については、最終年度に向けて研究成果のとりまとめが可能となる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度も、新型コロナ禍の影響で、当面は面接を行えない状況が続くことが予想される。そのため、新たなデータ収集は、断念する。認知症の方にもライフレビュー面接を行う予定にしていたが、実施不可能となった。 そこで、最終年度である令和3年度には、次のような研究を中心とする。 (1)事例の集積 新型コロナ禍の状況が変化し、介護老人保健施設を訪問できるようになれば、少数であっても事例の集積を図る。 (2)事例研究としての発表 ①これまでのデータの集積から、複数の事例をもとにした、共通するテーマの抽出(たとえば平成31(令和元)年度は、信仰の問題、令和2年度は、ライフレビュー面接において語らないことの意味などについて検討した)、ライフレビュー・プロセスや奏功機序の特徴の抽出、整理、類型化、②ライフレビューを促進、援助するために有効な、応答レベルでの臨床技法の検討などが想定される。 (3)次年度は、最終年度である5年目のため、研究成果報告書を作成し、関係機関(介護老人保健施設、大学など)に配付する。
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Causes of Carryover |
新型コロナ禍で、学会・研修会が中止、またはオンラインとなり、予定していた出張旅費の使用がなかったため。
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Research Products
(5 results)