2020 Fiscal Year Research-status Report
成人期ASD者の就労支援を目的としたメタ認知訓練の新規開発と効果検証
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17K04426
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
池田 望 札幌医科大学, 保健医療学部, 教授 (00274944)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大山 恭史 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (80356675)
森元 隆文 札幌医科大学, 保健医療学部, 講師 (60516730)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | メタ認知 / 尺度 / ASD / 成人期 / 就労支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
メタ認知尺度試作版の項目を決定するとともに、基準関連的データについても検討を進めた。既存尺度である「Metacognitive Awareness Inventory(Teasdale et al)」、「成人を対象としたメタ認知尺度(吉野ら 2008、阿部ら 2010)」、「メタ認知的知覚尺度(村山ら 2012)」の各尺度を使用することを予定していたが、メタ認知的信念等、関連する他の新たな尺度も開発が進められていることから、それらを含めた基準関連妥当性の検証手続きについて再度検討するとともに、データ収集実施に向けて準備を進めた。 また、ASDの就労支援に活用できるメタ認知トレーニングの開発については、既存の統合失調症を対象としたトレーニングであるMetacognitive training(MCT)、同様にうつ病を対象としたD-MCT、および自己調節実行機能モデル(Self- Regulatory Executive Function Model:S- REF)に基づくメタ認知療法(Metacognitive. Therapy:MCT)等を参照し、引き続きプログラムの作成を進めた。ASDの診断基準や障害特性を踏まえて、全体構成を検討した結果、ASDで障害を受けやすい心の理論(Theory of Mind)を扱うプログラムを中心に、具体的には就労場面を模したなかでの社会的失言を課題化したほか、自他の帰属、思考の柔軟性、二次障害としての気分障害、などについてモジュールの分類の検討と課題化を進めた。課題化にあたっては、セッションのテーマとコンテンツ構成、提示するスライド資料の内容等について、1回のセッションに要する時間を想定して決定した。ASDに特有な感覚・知覚特性についてもモジュール化を進めているが、ほぼ独自に行う必要があり、関連資料を広く収集しながら検討を進めているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19の感染拡大により協力者として予定していた学生の登校が制限されたことから、試作版尺度の実施が困難となった。また分担研究者との対面でのミーティングも制限されたため、調査の準備、結果の分析、具体的な課題提示に関する検討とプレ実験等の実施に遅延が生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
COVID-19 の収束がまだ見えず、繰り返しの感染拡大で今後の研究実施スケジューの組み立てが困難な状況であるが、試作版実施方法を少人数で複数回に分ける、一部ウエブ調査方式への変更等を行うなど、実施可能な方法を検討して進めていく予定である。トレーニング方法の開発については、対面での実施が必須なことから対象となる就労支援施設と協議を重ね、十分な感染対策を行うなどして実施可能性を探る予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍で支出を伴う調査が困難となり、1年延長したために次年度使用額が生じた。次年度の状況を見ながらWEB調査に切り替える等を検討し、必要な追加物品、謝礼等の支払いにより使用する予定である。
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