2021 Fiscal Year Research-status Report
発達段階を考慮した居場所づくりによる「不登校回復プロセス」のモデル化
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17K04435
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Research Institution | Sapporo International University |
Principal Investigator |
高野 創子 札幌国際大学, 人文学部, 准教授 (00746589)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平野 直己 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (80281864)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 不登校 / 仲間関係 / 回復 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、「不登校」を同年代の仲間のなかでの「居場所」の喪失、あるいは「居場所」からの撤退とみなして、この仲間の中での「居場所」を回復するプロセスをモデル化することを目的としている。具体的には、教育、福祉、医療などの領域を横断する形で、小学生から高校生までの発達段階を考慮した独自の「居場所づくり」の取り組みを行っている施設や団体を訪問し、現地調査とインタビュー調査を行うことを通して発達段階を考慮した居場所づくりによる「不登校回復プロセス」のモデル化を試みている。 研究の前半では、「児童期・思春期」にあたる小中学生を対象とした全国にある不登校支援の施設の調査を継続的に行ない、医療・福祉・教育の分野において、その支援におけるアプローチ(介入方法)の詳細は異なるものの、回復過程にある共通点が見られた。第一段階は、支援施設のスタッフ(大人)との信頼関係を築けるようになることであり、そのあとに徐々に同年代の仲間とも関わりを持てるようになる様子が観察される様子が語られた。新たな集団の中で特定の中の良い友人(親密な二者関係)を得たところで、次第に三者関係、集団へとつながりを維持できるように回復する過程が見いだされた。 研究の後半では、さらにその上の発達段階である青年期にさしかかる高校生以上を対象とした「ひきこもり支援」や「就労支援」を行う施設について複数の調査を実施・計画していたが、コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言により、全国を往来しての調査を中断せざるを得ず、研究延長を申請して調査再開のための調整を行っているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究前半は、研究計画にそって児童期・思春期にあたる小中学生を対象とした不登校支援の施設の調査を継続的に行ない、その成果を学会で報告するなどした。 研究最終年度には、さらにその上の発達段階である青年期にさしかかる高校生以上を対象とした調査を行っている最中であったが、コロナウイルス感染拡大によ る緊急事態宣言発令により、全国を往来しての調査を中断せざるを得なかった。ZOOMなどの遠隔手段を利用しての調査再開も検討したが、個人情報に関わる 問題など、研究倫理を鑑みると遠隔を利用しての調査は不適切であると判断した。そのため研究延長を申請し、対象施設との調査再開を調整している最中であ る。
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Strategy for Future Research Activity |
研究延期を申請し、調査に出られない期間は、緊急事態宣言発令直前に行った調査のデータ分析を行い、回復プロセスのモデル化をおこなった。調査を再開することが第一であるが、 今年度の感染状況によっては、調査の再開は断念し、これまでの調査をまとめて、社会に向けて発信する冊子を作成するなど成果を社会貢献として残していきたい。
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Causes of Carryover |
コロナ感染拡大に伴う自粛規制により、対象施設への調査を行うことができなかったため。
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