2019 Fiscal Year Research-status Report
ネット上における攻撃行動の促進要因と抑制要因の検討
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17K04438
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Research Institution | Tohoku Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
森本 幸子 東北医科薬科大学, 教養教育センター, 准教授 (10398539)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | SNS / 攻撃行動 / 規範意識 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度は、第3回目のオンライン調査(令和元年9月)を実施した。第1回目のオンライン調査(平成30年度9月実施)と第2回目のオンライン調査(平成30年度3月実施)に参加した被験者のうち、第3回目のオンライン調査に参加したのは、400名であった(男性200名、女性200名、平均年齢32.05±4.729)。SNSの利用歴については、平均60.21カ月であった。また1週間あたりの平均SNS利用時間については、第1回目調査時12.01時間/週(SD=14.44)、第2回目調査時11.97時間/週(SD=14.37)、第3回目調査時13.41時間/週(SD=17.41)であった。SNSの利用歴、1週間当たりの平均SNS利用時間についてはいずれも性差が見られ、女性の方が利用歴、利用時間共に長かった。そのため、分析では男女を分けて検討することとした。 現実場面での攻撃がネット上における攻撃行動の促進要因となるのかについて検討するために、第1回から3回調査のネット攻撃得点と現実攻撃得点の双方向の因果関係をモデルに組み込んだ交差遅延効果モデルを用いた共分散構造分析を実施した。しかし男女いずれもモデルの適合度が低く、現実を反映するモデルとしては不十分であることが示された。 次に、ネット攻撃を促進あるいは抑制する要因を検討した。現実攻撃得点、SNS規範意識得点、パーソナリティ得点、自己受容得点などが第1回から3回調査におけるネット攻撃得点に及ぼす影響を検討するために、潜在曲線モデルを用いた共分散構造分析を実施した。その結果、第1回から3回調査においてネット攻撃得点の変化は見られず、もともとネット攻撃をよくする人とそうでない人に分かれていた。また、第1回調査時点での現実攻撃得点が高い人ほど、第1回から3回調査におけるネット攻撃得点が高いことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究自体は計画通り、平成30年度9月に第1回目オンライン調査、平成30年度3月に第2回目オンライン調査、令和元年度9月に第3回目のオンライン調査を実施し、縦断調査によるデータを得ている。しかし、データ分析の結果、インターネット上での攻撃行動についての項目において、矛盾が生じる結果が得られ、調査協力者が設問をよく読まずに回答している可能性が示唆された。オンラインによってデータを得る場合にはどうしてもSatisfice(調査協力者が調査に際して応分の注意資源を割こうとしないこと)などの原因により、回答が歪む可能性がある。本研究でもその可能性が考えられるため、今後対策を講じたうえで、再調査を検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
オンライン調査におけるSatisficeに対処するための項目を追加し、再度オンライン調査を実施する予定である。調査は前回と同様に3回の縦断調査とする。
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Causes of Carryover |
研究計画では、オンラインでの縦断調査を実施したのちに、それらから得られた成果をインターネット上で広く公開する予定であった。しかし、今回3回のオンライン調査によるデータを分析したところ、データが一部歪んでいる可能性が考えられた。そのため、研究成果はインターネット上では未だ公表していない。研究成果公表のための研究費が未使用のために、次年度使用額が生じたと考えられる。 次年度は、データのゆがみに対策を講じたうえで再度オンライン調査を計画しており、そのための調査費用及び、研究成果の公表に研究費を使用する予定である。
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