2018 Fiscal Year Research-status Report
スーパーヴァイザー養成のためのメタ・スーパーヴィジョンに関する研究
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17K04447
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Research Institution | Otsuma Women's University |
Principal Investigator |
福島 哲夫 大妻女子大学, 人間関係学部, 教授 (60316916)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | スーパーヴァイジーへの介入 / スーパーヴァイジーのアセスメント / 介入の非言語的側面 |
Outline of Annual Research Achievements |
以下の組み合わせでメタ・スーパーヴィジョンの実践とそのプロセスおよび効果の分析、検討を進めている。 スーパーヴァイジー(Svee)4名:20歳代の臨床心理士もしくは大学院生、スーパーヴァイザー(Svor)4名:30歳代から40歳代でSvorの経験が初めてかもしくは少ない臨床心理士。これらに対してメタSVor(50歳代の臨床心理士でSVor経験20年以上、メタSvor経験5年以上)1名。スーパーヴィジョンの対象となった事例は、医療機関や大学の心理相談室、公的機関の従業員相談室等の事例であった。 すべての事例と組み合わせに関して、まずメタSV無しのSV数回をおこない、カウンセラー自己効力感測定の後に、2,3回のSVごとにメタSVの実施を3回繰り返す。そして再びカウンセラー自己効力感測定と振り返り用紙の記入を求めた。また、すべてのセッションを録画・録音し、さらに毎回のSVとメタSV終了直後にSV満足度尺度、SV作業同盟質問紙を実施した。 結果としては、まずSVを受けたSVeeからは、以下に代表される振り返りが得られた。「SVorが私の考えを理解しようと寄り添ってくれるようになった」「メタSV以前は、SVorの見立てや方針に沿わなくてはいけない、そしてSVorの求める正解があって、それを理解しなければいけないような気がしていたが、メタSV開始後はそれらの気持ちが薄れて自由に考え、それを自由に伝えられるようになった。」「メタSV以前は、約束しているから行くという受動的な面もあったが、最近は意識的に考えたとことをもっていくようになりVorの意見を聞きたいと思うことが増えた。」。また、メタSVを受けたSVorからは「SVee理解の深まり」「SVeeに応じた介入」「介入スキルの増加」「自身の臨床の非言語的な部分の振り返り」等に大きな効果があったと報告された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
長期間にわたる実践研究であるため、実施数が限られているのは、計画通りである。すでに貴重な知見が得られているため、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、ここまでに得られた量的・質的データにさらに新たなものを加え、サンプル数を可能な限り増やした形で分析検討し、実践モデルとして定式化していきたい。それと同時に学会発表や論文発表の形で、成果を内外に公表する作業を進めていきたい。また、その際にMcNeill&StoltenbergのIDMモデル(2010)におけるヴァイジー、ヴァイザーの発達モデルとの比較検討など、できるだけ利用可能性の高い形でのモデル化を試み、次のより大規模な効果研究に備えたい。
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Causes of Carryover |
この2年間、データ保存・分析のためのコンピューターその他物品が、以前からあったものが使えたため、その購入費として予定していた分、節約できた。しかし、次年度は購入する必要が生じる。
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Research Products
(5 results)