2018 Fiscal Year Research-status Report
若年非正規労働者のキャリア発達とメンタルヘルスに関する総合的研究
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17K04448
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Research Institution | J. F. Oberlin University |
Principal Investigator |
種市 康太郎 桜美林大学, 心理・教育学系, 教授 (40339635)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ストレス / キャリア / 離職 / 非正規雇用労働者 / 雇用形態 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度は、3つの研究を行った。 1)非正規と正規雇用労働者のキャリア自律とメンタルヘルスに関する比較:全国の若年(22~34歳)非正規雇用労働者,正規雇用労働者それぞれ400名ずつ、計800名に調査を行った。その結果、「仕事の負担」は非正規が高得点である一方,「仕事の資源」「いきいきアウトカム」「満足度」は、非正規は低得点であった。重回帰分析の結果、正規雇用群は、仕事の資源があると、ワーク・エンゲイジメント、職場の一体感が低いという関連が強くみられた一方、非正規雇用群では、それに加えて仕事の資源と仕事の満足度との関連も強く見られた。 2)非正規雇用労働者と正規雇用労働者の離職意思に関する比較:1)とは別の全国の若年非正規雇用労働者、正規雇用労働者それぞれ400名ずつ、計800名に調査を行った。非正規群は正規群と比較して、転職行動尺度、退職意思尺度の得点が高く、包括的職務定着尺度の得点が低いことが示された。また、相関分析の結果、非正規雇用労働者は現在の職務の要因よりも、代替案となりうる職業の選択肢の有無を中心として転職行動を起こす傾向があると考えられた。 3)特定派遣労働者を対象としたスマートフォンによるストレス対処研修の有効性:スマートフォンで受講できるe-learningプログラムを開発し、ストレスマネジメントとキャリア意識の向上を目指し、若年(18~34歳)の介護職特定派遣労働者53名に実施した。認知再構成法群、ジョブクラフティング群、統制群に無作為に割り付け、3群に対して、4回の介入と職業性ストレス簡易調査票・日本語版K10質問票を行った。結果、「ストレス反応」では、統制群ではストレス反応得点が有意に高く(F (1,35)=5.09,p<.05)、認知再構成法群ではストレス反応得点が有意に低い(F (1,35)=9.65,p<.01)ことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度は、3つの調査研究を実施し、おおむね予想した通りの結果が得られたと言える。しかし、介入研究においては一部で仮説通りの結果が得られないなど、プログラムを改善する必要があると考えられる。 また、非正規雇用労働者について、その状況に不本意と感じているかどうかも大きな要因であるが、その点について考慮していなかったので、今後の調査ではそれらの要因も加味する必要があると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、3つの研究のうち、介入研究についてはフォローアップデータも含めた結果をアジア健康心理学会議にて発表する予定である。 また、プログラムを改善した形での介入研究を計画する。 さらに、非正規雇用労働者について、その状況に不本意と感じているかどうかの要因を加味した調査を検討する。
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