2020 Fiscal Year Research-status Report
若年非正規労働者のキャリア発達とメンタルヘルスに関する総合的研究
Project/Area Number |
17K04448
|
Research Institution | J. F. Oberlin University |
Principal Investigator |
種市 康太郎 桜美林大学, リベラルアーツ学群, 教授 (40339635)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 非正規雇用者 / メンタルヘルス / 動機付け / 職の不安定性 |
Outline of Annual Research Achievements |
社会状況の変化に合わせて、以下の3つの研究調査を実施した。 (1)新型コロナウイルス感染症の感染拡大状況における若年非正規雇用労働者のストレスとメンタルヘルスに関する調査:本研究では、非正規雇用労働者のストレスとメンタルヘルスの関係に関して、職の不安定性という視点を加えて正規雇用労働者と比較検討する。対象:非正規雇用労働者および正規雇用労働者。研究内容:メンタルヘルスと職の不安定性に関する調査票によるWeb調査を行う。調査票は、新職業性ストレス簡易調査票(川上,2009)に加えて、職の不安定性を測定する尺度(堤,2015)を用いる。現時点で調査データを回収し、分析している状況である。 (2)日本語版多面的動機付け尺度の構成概念妥当性の検討:Gagne et al.(2015)による多面的動機付け尺度日本語版を作成する。対象:国内在住の18-65歳の正規雇用者・非正規雇用者とし、非正規雇用者の特徴を捉えることとした。現時点で調査データを回収し、分析している状況である。 (3)非正規労働者のメンタルヘルスとストレスコーピングの関連:非正規雇用労働者は、職場の負担が大きくない一方で、資源が乏しいという特有のストレッサーがあることが分かっている。他方、小杉(1998)の調査結果では、ストレッサーだけではなく、ストレスに対する対処傾向(コーピング)も異なることが示されている。そこで、本研究では雇用形態や職位別にストレッサー、ストレスコーピング、精神健康状態を調査し、それらの量的差異や相互の関連について検討することを目的とする。対象:国内在住の18-65歳の正規雇用者・非正規雇用者とし、非正規雇用者の特徴を捉えることとした。現時点で調査データを回収し、分析している状況である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現時点で、当初計画した調査はほぼすべて終了した。追加で実施したMWMS日本語版の開発に関する調査も終了しているので、MWMSとメンタルヘルスに関する非正規雇用者の特徴について明らかにし、それぞれの調査研究の発表を行えば計画が完了できるため、おおむね順調に進展していると言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
修正版MWMS日本語版の各因子とワーク・エンゲイジメント、上司のリーダーシップスタイル、精神健康度の各因子との関連に関する検討を行う。 調査目的:MWMS日本語版の構成概念妥当性(作成した尺度が、測定しようとする概念や特性をどれだけ適切に反映しているか)を検討する。 調査票:A)修正版MWMS日本語版、B)Shimazu et al.(2008)のUtrecht Work Engagement Scale邦訳・短縮版(以下、UWESと表記):UWESはワーク・エンゲイジメント(仕事に関連するポジティブで充実した心理状態)を測定する尺度で、活力(3項目)、熱意(3項目)、没頭(3項目)の計3尺度9項目から構成される。C)神谷(2011)のMultifactor Leadership Questionnaire邦訳版(以下、MLQと表記):MLQは、上司のリーダーシップスタイルを測定する尺度で、変革型リーダーシップ(20項目)、交流型リーダーシップ(8項目)、受動的・回避行動(8項目)の計3尺度36項目から構成される。D)古川ほか(2003)のKessler10邦訳版(以下、K10と表記):K10は精神健康度を測定する尺度で、10項目から構成される。E)デモグラフィック変数 調査対象:国内在住の18-65歳の正規雇用者・非正規雇用者とし、非正規雇用者の特徴を捉えることとする。
|
Causes of Carryover |
今年度に持ち越した調査研究が残っていて、それを実施するための調査費用として助成金の残りが生じた。この研究については、今年度計画に記載した調査研究に使用する予定である。
|