2017 Fiscal Year Research-status Report
Psychological and physiological effects of a loving-kindness and compassion based cognitive behavior therapy.
Project/Area Number |
17K04453
|
Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
有光 興記 関西学院大学, 文学部, 教授 (10341182)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | コンパッション / マインドフルネス / 肯定的感情 / 社交不安症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,社交不安症のための認知行動療法プログラム(Clark & Wells, 1995; 吉永, 2016)に慈悲の瞑想を組み込み,10名程度の社交不安症患者を対象にパイロットスタディを行うべく,まずプログラムの策定を開始した。Society for Affective Scienceに参加し,共同研究者とプログラム内容を検討した。そして,慈悲の瞑想の12週間プログラム(Hofmann et al., 2015)に,不安階層表の作成とホームワークの実施を組み込み,行動的暴露を実施するプログラムを作成した。 参加者は,フリーペーパーの広告,WEB,掲示板による募集に応じたものの中で,面接によって社交不安症の診断基準を満たした者とした。対象者は,社交不安症が主な症状であり,現在精神疾患に関する投薬を受けておらず,統合失調症,双極性障害の症状を持たず,自殺念慮がなく,抑うつの尺度(BDI)の得点が30点未満の参加希望者のみを対象とした。 希望者より電話またはメールを受け取り次第,上記の基準について電話で半構造化のインタビューを実施し,基準を満たしていれば大学の実験室に来室してもらい,同意書の説明と署名,精神科診断面接マニュアル(SCID)による社交不安症の診断面接,質問紙と脳波測定によるアセスメントを実施した。診断面接時に,臨床全般印象度についても評定した。投薬を受けている参加者は主治医の許可を得ることを条件とした。 3月末の時点で43名の応募があり,以上のアセスメントを実施したところ,基準を満たす参加者を7名得た。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画は,これまで実施してきた社交不安症を対象とした慈悲の瞑想プログラムに,認知行動療法の技法を加えて実施するというものであり,プログラムの作成には多くの時間はかからない予定であった。しかし,研究代表者が所属研究機関を移動し,医学系の倫理審査を受けることになり,書類の作成や審査で2カ月ほどの期間を要し,当初の予定より研究開始までに時間を要した。現在,参加者を募集しているがプログラムの実施には至っておらず,当初の予定より多少遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
参加者募集の広報を強化し,参加者をより多く集め,パイロット・スタディを早期に完了したいと考えている。その後,社交不安の診断基準を満たす参加者(20名程度)を対象に,待機群を設けて,認知行動療法に慈悲の瞑想を加えたプログラム(Loving-kindness based CBT:LK-CBT)による肯定的感情,思いやり行動の増進と社交不安症状の減少効果があるかを検討する予定である。本年度の参加者募集の実績からすると,募集には半年程度はかかることもありえるため,web広告の幅を広げるなど,より一層の努力を行う。
|
Causes of Carryover |
当該年度予算に従って研究を遂行してきたが,研究の実施を補助する人を雇用する費用(人件費)について多少の余裕を持って支出してきたため,最終的に1738円の差額が生じた。差額については,来年度における研究実施の補助員を雇用する費用(人件費)に使用する予定である。
|
Research Products
(3 results)