2018 Fiscal Year Research-status Report
失語症者のためのCAT日本語版作成および信頼性と妥当性の検討
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17K04454
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
吉畑 博代 上智大学, 言語科学研究科, 教授 (20280208)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | リハビリテーション / 失語症 / 評価法 / 質問紙 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、イギリスで開発された失語症検査CAT(Comprehensive Aphasia Test)の作成者らと情報交換を行いながら、CAT日本語版作成をめざして、各下位検査の刺激語を選定するための調査などを実施した。 CATでは、失語症当事者に「ここ1週間」の気持ちや様子を伺う質問紙AIQ(Aphasia Impact Questionnaire-21)に加えて、言語機能や非言語機能を調べる下位検査27項目が含まれる。例えば下位検査17「呼称」に関して、使用される単語は計24語であるが、日本語としての使用頻度などの心理言語学的変数を考慮して、候補単語を約100語抽出した。その後、イラストレーターに候補単語のイラストを描いてもらった。さらに、それらのイラストを用いて、CATで求められている、Name Agreementテスト(名称一致度調査)を実施した。健常者約80名への調査結果に基づき、現在、CAT日本語版の「呼称」に使用する単語を選定中である。また下位検査2「意味記憶」は、例えば「猿」のイラストに対して、4つの選択肢のイラスト、具体的には「バナナ」「洋ナシ」「チョコレート」「封筒」から、意味的に一番近いイラスト(ここでは「バナナ」)を選択する課題であるが、各単語の意味的関連性を調べるために、日本人健常者約45名を対象に調査を行った。その結果を踏まえて、「意味記憶」に使用する語とイラストを選定した。 さらに音読や復唱の下位検査では、心理言語学的変数をもとに、候補語をリストアップし、年代の異なる健常者に音読や復唱課題を実施した。健常者でも音読しにくい語があったため、そのような語は候補単語から削除するなど、候補単語を選定するための調査や工夫を行った。 このように計27の下位検査に求められる属性や心理言語学的条件に応じて、下位検査ごとに検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、CAT日本語版(JCAT)を作成することを目的としている。原版CATでは、刺激語を選定するためにName Agreement検査(名称一致度調査、以下NA調査と称す)が必要とされ、NA調査で求められる基準、つまりそのイラスト(単語)を使用してもよいという基準は85%以上であることが望ましいとされている。NA調査を実施した結果、85%の基準に満たない単語(イラスト)もあったため、NA検査の2回目および3回目を行った。このようにJCATで使用する刺激語の選定にあたり、必要な調査に時間がかかっている。 現在、NA調査3回目が終わっため、今後集計して、下位検査7「単語の聴理解」や下位検査8「単語の読解」などに使用する単語を選定していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
候補単語を抽出するために必要なNA調査がほぼ終わったため、結果を集計して正答率を算出し、JCATに使用する単語を選定するなどの手続きを実施する予定である。候補単語が決まった後には、検査図版としてJCAT仮版を作成する計画である。その後、JCAT仮版を使用して予備調査へと進み、さらに、予備調査の結果を踏まえて、必要に応じて、修正変更を行い、標準化のための本調査を実施する予定である。あわせて、予備調査用・本調査用の記録用紙を作成したり、マニュアルをまとめる計画である。また引き続きCAT開発者らと連絡をとり、経過を報告し質疑応答を実施して、JCATとして取りまとめていく。
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Causes of Carryover |
本年度は各下位検査に使用する候補単語の選定に時間がかかり、予備調査を実施することができなかった。そのため、予備調査に必要な交通費として予定していた旅費や、予備調査にかかる人件費や謝金を支出することができなかった。 今後、予備調査を行い、本調査も実施する計画であるため、交通費や、研究協力者に人件費を支出する予定である。また専門的知識の提供者に謝金を支払う計画である。
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Research Products
(6 results)