2019 Fiscal Year Research-status Report
失語症者のためのCAT日本語版作成および信頼性と妥当性の検討
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17K04454
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
吉畑 博代 上智大学, 言語科学研究科, 教授 (20280208)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | リハビリテーション / 失語症 / 評価法 / 質問紙 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、イギリスで開発された失語症検査Comprehensive Aphasia Test(Swinburnら、2004、以下CATと称す)の日本語版を作成することを目的としている。CATには、大きく次の3つ、①認知機能のスクリーニング検査、②聞く、話す、読む、書くの言語機能を調べる検査、③失語症当事者に、「ここ1週間」の気持ちを問うアンケート調査が含まれている。 本年度は、CAT日本語版に使用するイラストを定めるために、健常者を対象に、イラストの名称一致度を調べるName Agreement調査(名称一致度調査)を実施した。名称一致度にはばらつきが生じ、イラストを選定するために、名称一致度調査を、複数回繰り返した。その結果、CAT日本語版に使用可能な、名称一致度の高いイラストを抽出することできた。さらに、CATでは、各下位検査に、求められている心理言語学変数がある。それらの変数と、名称一致度調査の結果を照らし合わせることによって、使用イラストを、ほぼ定めることができた。 現在のところ、①の認知機能スクリーニング検査はほぼ完成、②の言語機能を調べる検査には、下位検査として「情景画説明」が含まれているが、日本独自の採点基準を検討中、③のアンケート調査に関しては、ほぼ完成しているが、記録用紙に一部整合性が不十分な点があったため、現在、修正中である。さらに、検査図版と記録用紙を作成中である。また、臨床に携わる人々にとって、わかりやすいマニュアルを作成することも検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
CATでは、刺激語や刺激イラストを選定するために、Name Agreement調査が必要とされ、その基準としては、名称一致度が85%以上であることが求められている。しかしその基準に満たないイラストがあったため、Name Agreement調査を繰り返した。現在は、使用イラストは、ほぼ選定することができた。また、言語機能検査に「情景画説明」が含まれているが、現在、日本独自の採点基準の作成に、時間がかかっている。それに伴い、検査実施に必要なマニュアル作成も、遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
CAT日本語版に使用するイラストは、ほぼ定まったため、今後は、それらを掲載した検査図版を作成する予定である。さらに、「情景画説明」の採点基準作成に時間がかかっているが、現在、健常者と失語症者の発話を分析しながら、採点基準を作成中である。本作業を継続することで、採点基準を明確にし、採点例などもマニュアルに載せる計画である。 検査図版、記録用紙、マニュアルを整備し、予備調査へと進める。予備調査で修正が必要な点が生じた場合には、修正を行っていく計画である。
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Causes of Carryover |
CAT日本語版に使用する語彙とイラストを選定するために、複数回のname agreement調査を実施したことで、時間がかかり、研究に遅れが生じた。また現在は、言語機能検査に含まれる「情景画説明」に関して、CATそのままの採点基準を使用することができないことが明らかとなり、日本語版独自の採点基準を作成中である。 このような中、下位検査の一部においては、予備調査の前段階としての調査を、実施済みであるが、CAT日本語版全体としての、予備調査を実施することができていない。そのために、打ち合わせにかかる交通費や謝金を支出することができなかった。今後、急いで、予備調査を行い、必要に応じて、記録用紙やマニュアルを改訂して、わかりやすいマニュアルを作成して、本調査実施へと進める予定である。
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Research Products
(4 results)