2018 Fiscal Year Research-status Report
The development and the test of the effects of the internet counseling system of cognitive behavior therapy
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17K04458
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Research Institution | Tokyo Kasei University |
Principal Investigator |
福井 至 東京家政大学, 人文学部, 教授 (10208928)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 認知行動療法 / eメール・カウンセリング / SE特有の不合理な信念 / SE特有の否定的自動思考 / カウンセラー養成プログラム / 産業カウンセリング / テレワーク / SNSカウンセリング |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究計画としては、昨年度の実験実施後の反省から、iCBTプログラムを改良して、RCT実験を行うことであった。 まず昨年度のiCBTプログラムでは、各質問項目の認知変容のための、不合理な信念の得する点や損する点が1文章ずつしか示されていなかったものを、それぞれ3文章ずつに増加させ、説得力と面白味をアップさせた。またプリテストやポストテストの福井が著作権を有する心理検査をオンライン上で実施できるよう改良した。さらに、新任管理職の悩みが強いことから「認知行動療法実践カード管理職編」の内容を付け加えた。このようなプログラムの改良は、本年度すでに完了した。 また、昨年度の実験で、SEの仕事の内容を理解していないため上手にeメールカウンセリングができなかったカウンセラーもいた。そのため、本年度は元SEで産業カウンセラー資格を有している退職した方をeメール・カウンセラーとして養成し、再度RCT実験を行う予定であったが、eメール・カウンセラーの養成とRCT実験の被験者の募集ともにうまく進まず、本年度の改良したRCT実験は実施できなかった。 しかし、昨年度の実験結果をもとに、日本産業カウンセリング学会第23回(国際)大会で、自主シンポジウム「認知行動療法を用いたSE向けメールカウンセリングシステムの開発と効果の検証」を、企画司会(粟竹愼太郎)、パネリスト(熊野健志、福井健人、福永圭佑、福井至)で実施した。また、文部省や厚生労働省などがSNSカウンセリングを広め始めているため、日本産業カウンセラー協会の神奈川支部でもSNSカウンセリング研究会を研究協力者粟竹愼太郎が立ち上げ、本年6月の日本産業カウンセラー協会の神奈川大会では、「ネットワークカウンセリング」として、eメールカウンセリングとLineカウンセリングの研究会を福井が司会で開催することになっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度にすでに3年分で予定していた実験の8割がたができており、本年度は昨年度の研究の反省を踏まえて、さらにiCBTプログラムの内容を改良したeメールカウンセリングのRCT実験を実施する予定であった。しかし、iCBTプログラムの改良はできたものの、再度のRCT実験は実施できなかった。これは、産業カウンセラー有資格者で現在は退職している元SEの方をeメール・カウンセラーとして養成することにしたものの順調には進まず、またRCT実験の被験者の募集もうまく進まなかったためであった。しかし、1回RCT実験を行うことが、当初の科学研究費の計画であったことからすると、残りは当初の申請書で2018年度に予定していたシングルアームの効果検証実験実施のみである。
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Strategy for Future Research Activity |
すでに認知行動療法を用いたインターネット・カウンセリング・システムは構築できており、2017年度のRCT実験でこのシステムを用いたeメール・カウンセリングで、否定的自動思考が低減し、抑うつが低減するが、このシステムを利用しなかった統制群では自動思考も抑うつも変わらないことが示されている。そこで、本年度は当初の科学研究費の申請書では2018年度にあったシングルアームの効果検証実験を実施することとした。つまり、プロジェクトの開始からeメールカウンセラーがチームに入り、「プロジェクト・チームの管理や運営」に寄与していくという実用実験をすることとする。カウンセラー・チームが設計フェーズ、開発フェーズ、試験・納入フェーズ、運用・メンテナンスフェーズのすべての段階で、eメール・カウンセリングを用いつつ、チームの一員として関わっていくという、実際の運用をして効果の確認をすることとした。実際に30名以下のプロジェクト・チームで、eメール・カウンセラー7名以下とすると、すでに養成しているeメール・カウンセラーにお願いすることで、RCT実験よりはかなり容易に実施できる見込みである。 また、研究成果の社会への還元については、日本産業カウンセラー協会の2019年6月の神奈川大会において、第四分科会として「オンラインカウンセリング」と題した研究会を開催することになっている。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じたのは、本年度に予定した、産業カウンセラーの資格を有していて現在退職している元SEの方をeメール・カウンセラーとして養成し、再度のRCT実験を目指したが、この実験が実施できなかったためである。そこで各種事情を勘案すると、すでに2017年度にRCT実験での効果の確認はできていること。また、再度のRCT実験を行うよりも、産業カウンセラーの有資格者であるeメールカウンセラーがプロジェクト・メンバーとしてプロジェクト発足時から参加し、「プロジェクト・チームの管理運営』に寄与していく実用検証実験の方が実施が容易であると考えられた。また、科学研究費の申請書類でも、2019年度は上述のような実用化実験、つまりプロジェクト・チームの発足時から、産業カウンセラーの有資格者であるeメールカウンセラーがプロジェクト・メンバーとして参加し、設計フェーズ、開発フェーズ、試験・納入フェーズ、運用・メンテナンスフェーズのすべての段階で、eメール・カウンセリングを用いつつ、チームの一員としてかかわっていくという実用実験を計画していた。その当初予定通りの実験のために次年度使用額を用いていくことした。また、2017年と2018年の研究成果を論文として公表予定である。そのために、翌年度分として請求した助成金と合わせた金額を使用する予定である。
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Research Products
(2 results)