2019 Fiscal Year Research-status Report
認知行動モデルに基づく悪夢と合併精神疾患の心理治療法の解明
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17K04461
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
松田 英子 東洋大学, 社会学部, 教授 (30327233)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 斉 文教大学, 人間科学部, 教授 (30203996)
松岡 和生 岩手大学, 人文社会科学部, 教授 (50209508)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 悪夢 / 記憶 / 認知機能障害 / イメージ / 認知行動療法 / 認知症 / 自閉症スペクトラム障害 / うつ病 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究目標は悪夢の認知行動療法を合併精神疾患別に応用可能なものに発展させることである。研究分担者にイメージや記憶の研究に取り組む研究分担者を加え,悪夢と感覚,記憶を含めた認知機能の関係性に注目して,研究を実施している。研究対象とした合併疾患の具体例は次の通りである。 研究5 認知症の悪夢の特徴に関しては,事例研究にとどまらず,高齢期の加齢に伴う正常な認知機能の低下について,悪夢の頻度・内容に関して青年と高齢者との比較調査研究を行い,さらに年齢をマッチさせた認知症の診断を受けた施設入所者と健常高齢者との比較調査研究を行い,それぞれ研究発表を行った。研究6 統合失調症の悪夢の特徴に関しては,統合失調症の認知機能障害の研究者とのディスカッションを含むシンポジウムの中で研究発表を行い,総説論文として公刊した。研究7 自閉症スペクトラム障害の悪夢の特徴に関しては,発達課題からの夢の内容分析を紀要論文として公刊,感覚モダリティや情動を伴う記憶と夢についての分析を専門学会誌に投稿中である。さらに,悪夢の頻度・内容に関して発達障害傾向をもつ通級児童と通常級児童との比較調査研究を行った。通級児童の自閉症スペクトラム障害の行動特性,注意欠陥多動性障害の行動特性,および学習障害の行動特性との関係性についても分析した。研究8 PTSDの悪夢の特徴(事例研究) に関しては,成人の患者にイメージを媒介した認知行動療法による支援を行った結果とともに論文として公刊した。研究9 特発性の悪夢の特徴(事例研究)に関しては,青年のクライエントにイメージを媒介した認知行動療法による支援を行った結果とともに論文として公刊した。研究10 うつ病の悪夢の特徴(事例研究)に関しては,成人のクライエントに対するイメージを媒介した認知行動療法による支援の結果について学術書に執筆した。さらに大学生のデータで調査研究を既に行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2020年度前半までに検討予定であった各種精神障害と悪夢についての事例研究の実施はすべて終了し,次の通り,成果の公開も認知症以外は順調に行っている。統合失調症と夢(行動科学:松田・川瀬,2018),自閉症スペクトラム障害と夢(東洋大学社会学部紀要:松田,2019,イメージ心理学研究:松田・松岡・岡田,投稿中),PTSDの悪夢の治療(イメージ心理学研究:松田,2019),特発性悪夢の治療(ストレスマネジメント研究:川瀬・松田,2018),うつ病の悪夢の治療(誠信書房:松田,印刷中)。 また関連テーマについては,次の大規模な調査研究も実施しており,(1)高齢者と青年の比較,(2)認知症者と健常高齢者,(3)発達障害児童と通常級の比較,自閉症スペクトラム,ADHD,LDの行動特性と夢・悪夢についても調査を実施しており,日本からの悪夢研究の発信を行い,国際的な情報交換を深めた。発達差に関する研究は,日本のみならず,中国や韓国との国際比較研究も実施した。さらに当初の研究計画の予定になかった,(4)強迫性障害(強迫観念と強迫行為),(5)タイプA行動特性,(6)アルコール依存症者の夢・悪夢についても調査を実施しており,これらの国際誌での研究成果の公開を目指して論文執筆に取り組んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
順調に研究が進んでいるため,関連テーマで行った6つの調査結果に関する成果を国際誌に発信していく。またアジアにおける国際比較研究をさらに進め,情報発信を行っていく。 夢の内容分析に関しては,世界共通の夢内容分析システムHall and van de Coding Systemの 日本版を作成し,分担研究者と協力して日本版Dream Data Bankの運用公開にむけて,引き続き活動を行っていく。 また研究活動の成果を国民に向けて,一般書や雑誌,WEBなどのメディアでわかりやすく発信していく。
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Causes of Carryover |
残額に関しては,日本版Dream Data Bankの開発,運営費用に充てる予定である。
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Research Products
(18 results)