2017 Fiscal Year Research-status Report
社交不安症におけるビデオフィードバックの妨害要因と効果向上に関する研究
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17K04463
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Research Institution | Musashino University |
Principal Investigator |
城月 健太郎 武蔵野大学, 人間科学部, 准教授 (50582714)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中尾 睦宏 帝京大学, 公私立大学の部局等, 教授 (80282614)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 社交不安症 / 不安 / 認知行動療法 / ビデオフィードバック |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度の研究では,社交不安症におけるビデオフィードバックに関する研究動向を把握するとともに,実際のビデオフィードバックにおける負担感について理解を進めることや,ビデオ映像に関する解釈と社交不安に関する関係を検討することが目的であった。まず,ビデオフィードバックに関するこれまでの研究動向をレビューし,とりまとめた。これまでのビデオフィードバック研究では,他者からのフィードバックや認知的準備(Cognitive Preparation)などの併用技法を用いて,効果の向上を進めてきた。その一方で,実施における負担感のあることから,ビデオを見る前に生じる認知の理解と認知変容が重要であることが示唆された。
質問紙調査においては,大学生335名に対し,ビデオ映像に関するイメージと社交不安,抑うつ症状,自尊心との関係性を検討した。その結果,ビデオ映像に関するネガティブなイメージは,社交不安や抑うつ・自尊心と関連が高く,ビデオ映像に関するポジティブなイメージは,社交不安と関連の低いことが示された。そのため,ビデオフィードバックで行う認知的介入に関しては,ネガティブなイメージのほうが効果の高い可能性があり,そのイメージをニュートラルにすることが有効である可能性が示唆された。さらには,社交不安と関連する要因としてマインドフルネスを取り上げ,認知的な維持要因の影響を低減する可能性についても明らかにした。また,SAD患者に対する予備的なインタビュー調査では,自分のエクスポージャーに関するビデオ映像を見る際には,「映像を見ることは苦痛である」や「違和感が強い」といった思考があり,抵抗の強いことが明らかにされた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度の研究計画は,ビデオフィードバックに関する研究の全体像を把握するとともに,現状でのビデオフィードバックに関する負担感とその実態について明らかにすることが目的であった。当初の目的通り,研究のレビューについてとりまとめを進めることができ,質問紙調査やインタビュー調査の検討を進めることができていた。
また,平成31年度から中心となり実施する予定であった実験検討のスクリーニング調査についても並行してスタートすることができていることから,次年度以降の研究に関する進展もおおむね順調であることが期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度においては,計画していた実験的検討をすすめることが中心である。現在スクリーニング調査を終えて実験を行う準備を整えているところであり,随時実験を実施していく予定である。また,平成31年度からはSAD患者を対象に介入プログラムを進めていく予定にしており,こちらについても準備が整い次第実施を進めていく。
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Causes of Carryover |
今年度は,関東近郊での学会参加となり,旅費については宿泊費や移動費が必要とならなかった。そのため,次年度以降に必要な学会出張等を行っていく。また,物品等に関する費用については,平成30年度以降に行う実験や介入プログラムにおいて平成29年度中に準備を行うものとして計上した予算があるが,次年度以降必要な支出があると考えられるため,これらに充当をしていく。
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Research Products
(4 results)