2018 Fiscal Year Research-status Report
Current issues and counselors' professional development of university counseling centers in the East Asian countries
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17K04464
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
伊藤 直樹 明治大学, 文学部, 専任教授 (50327087)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 学生相談機関 / 東アジア / 専門性養成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,日本と東アジア諸国における①「学生相談の現状」および②「学生相談カウンセラーの専門性養成における共通点および相違点」を明らかにすることにより,日本の学生相談の課題と今後の発展のための示唆を得ることを目的として行われている。 2018年度は,中国2大学および韓国2大学の学生相談機関を訪問し,相談実務担当者に対して当該大学における学生相談機関の相談体制,学生相談の状況と特徴,今後の課題,当該国における専門性養成の状況についてインタビュー調査を実施するとともに,関連する資料を収集した。 その結果,中国における学生相談においては,中国の政治的な体制を反映している傾向が見られること,学生集団に対する心理教育が重視されていること,また,専門性養成においては,国家資格制度が十分には機能していないこと,経験のある指導者が不足していることが見出された。一方,韓国における学生相談においては,日本よりも充実した相談員の体制と相談システムが構築されていること,特に,自殺予防等の危機対応が充実していること,また,専門性養成においては,国家資格制度の確立が目指されている途上であるものの大学院修了後の研修体制が充実していることが見出された。 これらの結果から,日本における学生相談との相違点およびその背景にあると考えられる専門性養成に対する考え方と教育・研修システムの特徴が明らかになった。それらの知見を踏まえ,日本における学生相談のあり方と専門性養成のシステムについて検討を加え,研究上,有意義な示唆が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2017年度は当初の計画通り,文献研究およびウェブサイトを通じた研究を実施した。 2018年度は当初の計画では台湾,中国(香港)を調査対象としていたが,2017年度の研究成果を受けて,調査先を中国,韓国に変更した。 調査先の変更はあったものの,2カ国の調査を実施したことから,研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は,2018年度に調査を行う計画であった台湾および香港の調査を計画している。 これにより,東アジア4カ国・地域における学生相談および専門性養成に関するデータを得て,本研究課題の成果を十分なものとすることを目指す。
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