2020 Fiscal Year Research-status Report
援助要請の質に注目した適応的な援助要請のあり方の検討
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17K04467
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Research Institution | Rissho University |
Principal Investigator |
永井 智 立正大学, 心理学部, 教授 (20513170)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 援助要請スタイル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目的は、援助要請をスタイルの視点から検討し、適切な援助要請を促進するための支援方法を検討することであった。 従来の援助要請を扱った研究では、援助要請の量のみに注目することが多く、援助要請が多い方が望ましいという前提があった。しかしながら近年では、援助要請は必ずしも多ければよい訳ではない可能性が指摘されている。具体的には、援助要請の量ではなく援助要請の質に注目した検討の必要性が指摘されている。当該領域ではこれまで、「援助要請スタイル」という視点が提案され、信頼性・妥当性を有する尺度が報告されているが、しかしながら、援助要請の質に注目し、その詳細を検討した研究はほとんど存在しない。 そこで本研究課題では、援助要請スタイルが適応に与える影響を明らかにしたうえで、どのような要因が援助要請スタイルに影響するのか、また援助要請スタイルが適応に影響するメカニズムはどのようなものかなどを検討し、そうした知見を踏まえて適切な援助要請を促進する支援方法を検討することを目的とした。 本年度は、援助要請スタイルへの影響要因を明らかにするため、援助要請スタイルに対する愛着、対人関係目標の影響要因を検討した。その結果、愛着や社会的達成目標は、援助要請における利益・コストの予期を媒介して援助要請に影響することが明らかになった。具体的には、親密性の回避は過剰型の抑制・回避型の促進につながり、一方社会的達成目標における熟達接近は自立型の促進につながることが示された。また、これらの影響は、一部利益・コストの予期によって媒介されていた。すなわち親密性の回避は、「ポジティブな結果」など援助要請を促進する結果予期を抑制する一方、熟達接近は逆に「ポジティブな結果」等を促進していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19の影響による活動制限によって、調査実施・データ収集に支障が生じたため。
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Strategy for Future Research Activity |
オンラインでの調査など、データ収集方法を再検討し、当初計画されていた研究を実施する。
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Causes of Carryover |
COVID-19の影響により研究実施に支障が生じ、当初の予定通り研究が遂行できなかったため、次年度使用額が生じた。本年度、計画通りの研究を実行することで、適切な研究費使用を行う予定である。
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