2019 Fiscal Year Research-status Report
エビデンスに基づく家族関係再構築支援プログラムの確立
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17K04468
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Research Institution | Shiraume Gakuen University |
Principal Investigator |
福丸 由佳 白梅学園大学, 子ども学部, 教授(移行) (10334567)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 展彰 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (10251068)
藤田 博康 駒澤大学, 文学部, 教授 (80368381)
門田 行史 自治医科大学, 医学部, 准教授 (80382951)
水島 栄 獨協医科大学, 医学部, 研究員 (00790940)
木村 一絵 九州大学, 医学研究院, 助教 (30432909)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 家族支援 / 親子関係 / 夫婦関係 / 養育スキル / 里親 / 離婚 / CARE / FAIT |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、親子関係や夫婦関係における家族の関係性再構築や関係性の改善という視点から、主に里親家庭や離婚を経験する家庭を対象に支援プログラムを実施し、その効果を測定する中で、エビデンスに基づいた関係性構築の支援プログラムを確立することを目的としている。具体的には、子育てにかかわる養育スキルとトラウマインフォームドの視点を踏まえたCARE(Child-Adult Relationship Enhancement)と、親の離婚を経験した子ども、およびその親に向けたFAIT(Families In Transition)の実践の2つからなる。 19年度は、それぞれ少ないデータ数ではあったが、実践時に前後の効果研究を行い、データを収集した。まず、親子関係の支援の視点から、CAREを里親対象に2クール行った。各クールとも3回に分けての実践とその前後での質問紙調査、および生理的指標の収集である。また、子ども家庭支援センター主催の親向けの講座でも、同様の実践と、質問紙調査のみによる前後の比較調査を行った。離婚家庭に向けたFAITプログラムは、少数ではあるが、2回開催して実施前後のデータを収集した。ただ、いずれのプログラムも、年度末に計画していた研究が、新型コロナの影響で中止となり、必要なデータが集まっていな状況にあるため、研究期間を延長して引き続き実践と研究を継続する必要がある。 研究発表は、8月にシカゴで開かれた国際学会で、日本におけるCAREの実践状況や効果研究の一部についてシンポジストとして発表した。国内では、年度末に予定されていた学会が中止となり、FAITプログラムの実践などについての学会発表は次年度以降となっている。また、双方のプログラムの実践を踏まえて、家族関係における夫婦の葛藤、親子の葛藤に関する論稿、暴力や体罰によらない子育てに関する論稿を執筆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の研究計画から遅れをきたしている理由の一つは、複数名の参加者を対象とした実践を伴う効果研究であり、実践のみの参加を希望する方も少なくない中で、データ収集が困難な点である。また、3回の継続的な実施の前後に複数回のデータ収集を行うため、途中から参加することやデータの収集がかなわなくなる(返送されないなどの)場合もあり、結果的に分析に用いることのできるデータ数に至るのに、当初の見込み以上の時間がかかってしまっているという現状もある。さらに、年度末に予定していた、CAREとFAIT双方の実践が、コロナの影響で共にキャンセルになってしまったこともあり、研究は全体的に遅れ気味の状況である。研究再開の状況になった際には、急ぎ実践と効果研究を開始したいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、データ収集につながるための実践を行っていくが、複数参加者による対面での実践プログラムゆえ、実践と研究再開の見込みは未だに見えない状況である。年度初めに計画しつつも、やはり中止とせざるを得ない現状であり、効果検証のためには一定数のデータが必要である本研究としては、非常に苦境にあるともいえる。万一、当初の計画にみあったデータ収集に至らない場合にも、これまでの参加者からの評価や振り返りなどから見えてくる課題などを整理することなどを通して、実践プログラムの改善を図ることは行っていきたいと考えている。 また、両プログラムともに家族の関係性を支える実践的、臨床的な取り組みでもある。研究データ収集にはならないが、たとえばCAREにおける養育スキルに関する内容の一部をオンライン上で1対1の関係の中で伝えていくなど、この状況下だからこそ必要な取り組みに対して柔軟な実践も求められると考えている。こうした試行的な取り組みを含めて、親子の関係や夫婦の関係が今以上に悪化しない方略、養育におけるマルトリートメントの予防、などにもつながる視点を可能な方法で提供することも重要な役割と認識している。 なお、コロナ禍での親子のかかわりの一助として、CAREのHP上では動画を作成して配信している。これは、子どもとのかかわりにおいて必要かつ重要な養育のスキルに関する解説とロールプレイから構成されており、一定数の視聴や評価が得られている。こうした取り組みを通じても、さまざまな養育支援、家族支援を積極的に行いたいと考えている。
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Causes of Carryover |
実践の参加者は一定数いる一方、効果研究に継続的に協力可能な被験者が当初の見込みよりも少なく、データが十分に集まらない状況である。引き続き、データ収集および、それにつながる実践を行っていく必要があり、また、コロナの関係で、当初の予定通りの実践が行えなかったことで、当初、人件費や謝金などに充当する予定であった研究費が使用されていない。次年度に実施することとし、これらの研究費を今後の研究資金として、適切に使用することを計画している。
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Research Products
(4 results)