2019 Fiscal Year Research-status Report
障がい者きょうだいの援助ニーズと期待するサービスの変化ー日中台援助モデルの構築ー
Project/Area Number |
17K04472
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
吉 げん洪 立命館大学, 人間科学研究科, 教授 (60288694)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 援助ニーズ / 発達段階 / 障害児・者きょうだい |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年~30年度において、日本、中国、台湾で障がいのある同胞を持つきょうだいを対象に半構造化インタビュー調査を行い、最終的に日本10名、中国16名、台湾20名のデータを収集できた。これらのデータを用いて、Modified Grounded Theory Approach (M-GTA)によって質的分析を行った。この質的比較研究の結果は、2019年6月神戸で開かれた日本心理臨床学会第38回大会で、「きょうだいの発達段階における援助ニーズの変化①ー日中台比較研究ー」という題目で口頭発表を行った。そして「きょうだいの発達段階における援助ニーズの変化②ー日中台比較研究ー」は共同研究者の頼念華(国立台北教育大学心理学科)、張亦瑾(立命館大学)によって発表された。 そして令和元年において、質的分析によって得られた結果に基づいて、日本語版と中国語版の「障がいのある同胞を持つきょうだい援助ニーズと期待サービス尺度」を作成した。台湾で予備調査を行ってから、日本、中国、および台湾のきょうだいを対象に本調査を行った。日本では「きょうだい会」と「しぶたね」、台湾では天使心家族社会福利基金会財団法人、中国では蘇州市の特別支援学校をそれぞれ拠点にスノーボール形式で行った。日本人きょうだい160名、中国人きょうだい96名、および台湾人きょうだい486名の有効データを収集した。日本と中国の調査は2019年11月~2020年2月に、台湾の調査は2019年1月~3月において行った。 なお、本研究は立命館大学における人を対象とする研究倫理審査委員会による倫理審査に承認された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本、台湾、中国で調査できるように、日本語版、中国語版の「障がいのある同胞を持つきょうだい援助ニーズと期待サービス尺度」を独自に作成し、予備調査および本調査を終えている。今後データの量的分析を急ぐ必要がある。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和2年度においては、以下の推進方策を立てている。 1.独自に作成した「障がいのある同胞を持つきょうだい援助ニーズと期待サービス尺度」を用いて日本、台湾、中国で行ったアンケート調査のデータを詳しく分析する。2.2020年8月に開かれる日本心理臨床学会第39回大会に申し込んだ発表が採択されたため、日本、台湾、中国のきょうだいを対象に行った比較研究の調査結果を発表する予定である。題目は「成人期きょうだいの援助ニーズに関する日中台比較研究」である。 また、アンケートによって得られたデータの統計分析を行い、障がいのある同胞を持つきょうだいの援助ニーズと期待するサービスを発達に沿って順番をつけ、変化パターンを見出していく。また、日本、 台湾、中国の相違について検討し、文化との関連について考察を行なう。 さらに最終年度である令和2年度には過去3年間の研究成果をまとめ直し、国内外の学会で報告してフィードバックを受け、学際的な議論を行い、論文としてまとめる。障がいのある同胞を持つきょうだいの発達段階に添った、そして日本・台湾・中国の文化に合った臨床 心理学的援助モデルを構築し、報告書や論文発表したところで本研究を終了とする。
|
Causes of Carryover |
本基盤研究(C)の最終段階、つまりアンケート調査の段階まで進んでいるが、日本と台湾における調査は順調である。ただし、中国コロナウィルス拡散に影響をうけ、特別支援学校や障碍者連合会(残疾人連合会)などの機構にご協力を得る調査は時間を要する事態となったため、中国大陸における調査はまだ十分な人数を集められていない状況である。したがって、1年間延長を申請する。
|
Research Products
(1 results)