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2021 Fiscal Year Research-status Report

遺族のニーズに応じた多層的な心理社会的支援の展開と効果の検証

Research Project

Project/Area Number 17K04474
Research InstitutionKwansei Gakuin University

Principal Investigator

坂口 幸弘  関西学院大学, 人間福祉学部, 教授 (00368416)

Project Period (FY) 2017-04-01 – 2023-03-31
Keywords死別 / 悲嘆 / 遺族 / グリーフケア / アセスメント
Outline of Annual Research Achievements

今年度は、昨年度に続き、COVID-19の感染拡大の影響で、研究3「さまざまな場での多層的な心理社会的支援の効果の検証」に関連して、研究代表者が協力している豊中市保健所でのグリーフケア事業は変更を余儀なくされた。コロナ禍前は、地域の遺族等を対象とした対面での講演会や分かち合いの会を3カ月に1回実施してきたが、コロナ禍となり、昨年度はオンデマンド配信による講演会とZoomによる分かち合いの会を実施した。今年度も、講演会のオンデマンド配信を継続実施した一方で、2021年3月に約2年ぶりとなる対面での講演会と分かち合いの会を実施した。分かち合いの会への参加者は13名で、市の広報誌で情報を得て参加した方が9名と多かった。全体としての参加満足度は、「とてもよかった」が5名、「よかった」が8名、「ふつう」や「よくなかった」との回答はみられなかった。参加して良かったことに関する自由記述回答として、「自分一人で悲しみ苦しみをかかえていたが、それぞれ悩みを持っていることを知り、自分だけでないことがわかりました」「いろんな方の話を聴いて、また自分も感じたことを話せて、思考の整理が少しできた」「若い人はオンラインでできるけど、高齢者は対面の方がやはり良いと思いました」などがみられた。今回は、感染対策の一環で、通常よりも短時間の開催で、加えて想定以上に参加者も多かったため、やや時間不足であった感は否めなかった。とはいえ、オンラインでの実施に比べ、それぞれの率直な思いが語られ、共有することがスムーズにでき、対面実施の意義が感じられた。コロナ禍での経験を糧に、保健所でのグリーフケア事業のあり方を検討することが今後の課題といえる。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

研究1「遺族のニーズやリスクを把握するためのアセスメント方法の検証」に関しては、葬儀社のサポートグループで収集したデータの解析をひとまず完了しているが、未解析のデータも残っており、追加の分析を検討する余地はあると考えられる。研究2「多層的な心理社会的支援の実施に向けての現状と課題の把握」については、救急医療分野に関して、全国の救命救急センターの救急外来の看護管理者を対象に遺族支援の実態調査を既に実施し、遺族調査の実施に向けて準備を進め、倫理委員会の承認も得ていたが、COVID-19の感染拡大の影響で、調査協力を予定していた医療機関での調査の実施の見通しが立たず、昨年度の段階で調査計画を中止することとした。今年度も同領域での調査の実施は難しい状況である。また、研究3「さまざまな場での多層的な心理社会的支援の効果の検証」に関しては、豊中市保健所のグリーフケア事業について検討を行っているが、コロナ対応の最前線である保健所での活動であるため、活動に制限があることは否めず、限定的な研究実施に留まらざるを得ない状況である。

Strategy for Future Research Activity

2022年度は、過年度に引き続き、研究1「遺族のニーズやリスクを把握するためのアセスメント方法の検証」に関しては、葬儀社のサポートグループで収集したデータ解析を継続する予定である。研究2「多層的な心理 社会的支援の実施に向けての現状と課題の把握」については、救急医療分野に代わって、新たにホスピス・緩和ケア病棟を対象とした遺族支援の実態調査を行い、現状と課題を明らかにする予定である。ホスピス・緩和医療領域に関しては、過去に2度(2002年、2012年)に実態調査を行っており、前回調査からちょうど10年となることから、本年度の調査を計画している。加えて、葬儀社での取り組みや遺族のセルフヘルプグループ、宗教活動、当事者による社会的活動などが、遺族の心理社会的適応に直接的あるいは間接的に及ぼす効果について、新規の調査データや過年度に収集した資料等をもとに検証する。

Causes of Carryover

今年度の支出額が当所の予定よりも大幅に少なかった理由は、昨年度に引き続き、当初予定していた救急医療分野での遺族調査が、COVID-19の感染拡大の影響で中止となったことが大きな要因である。また、 豊中市保健所でのグリーフケア事業についても、特に多額の研究費を要するものでなかったことも、残額が多く生じた理由である。今後の使用計画としては、ホスピス・緩和ケア病棟を対象とした実態調査を検討している。調査方法は質問紙調査もしくは面接調査とし、それに伴う印刷費及び郵送費、研究協力者や協力機関との研究打ち合わせにかかる旅費交通費、謝金等の支出を見込んでいる。また研究資料として、死別に関連する書籍等の購入費用が必要である。

  • Research Products

    (8 results)

All 2021

All Journal Article (5 results) (of which Open Access: 2 results,  Peer Reviewed: 2 results) Presentation (2 results) Book (1 results)

  • [Journal Article] コロナ禍における死別―新たな遺族支援の展開を探る―2021

    • Author(s)
      坂口幸弘, 赤田ちづる
    • Journal Title

      人間福祉学研究

      Volume: 14 Pages: 57-73

    • Open Access
  • [Journal Article] 遺骨を手元に置いていることの意味-配偶者を亡くした人の語りを通して-2021

    • Author(s)
      西岡秀爾, 坂口幸弘
    • Journal Title

      グリーフ&ビリーブメント研究

      Volume: 2 Pages: 75-86

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] 犯罪被害等で大切な人を突然に亡くした遺族が「死者の生きた証」を伝承することの効果2021

    • Author(s)
      赤田ちづる, 坂口幸弘
    • Journal Title

      グリーフ&ビリーブメント研究

      Volume: 2 Pages: 55-64

  • [Journal Article] 納骨という営みによる心理的変容-配偶者を亡くした人への聞き取り調査から-2021

    • Author(s)
      西岡秀爾, 坂口幸弘
    • Journal Title

      四天王寺大学紀要

      Volume: 69 Pages: 353-373

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] 遺族による死者の生きた証を伝承する活動の意義-NPO法人いのちのミュージアムが少年院で取り組む「いのちの授業」が在院者へ及ぼす効果-2021

    • Author(s)
      赤田ちづる, 坂口幸弘
    • Journal Title

      Human Welfare

      Volume: 13 Pages: 97-104

    • Open Access
  • [Presentation] きょうだいとの死別体験が遺されたきょうだいと親子関係に及ぼす影響の探索2021

    • Author(s)
      赤田ちづる, 坂口幸弘
    • Organizer
      第3回日本グリーフ&ビリーブメント学会学術大会
  • [Presentation] 事故・災害等で大切な人を突然に亡くした遺族が死者の生きた証を伝承することの効果2021

    • Author(s)
      赤田ちづる, 坂口幸弘
    • Organizer
      第3回日本グリーフ&ビリーブメント学会学術大会
  • [Book] 終末期ケア上級専門士 公式テキスト2021

    • Author(s)
      日本終末期ケア協会編
    • Total Pages
      192
    • Publisher
      アステッキ
    • ISBN
      9784909470256

URL: 

Published: 2022-12-28  

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