2017 Fiscal Year Research-status Report
アクセプタンスの獲得を用いたストレスマネジメントに関する臨床心理学的研究
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17K04476
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Research Institution | Fukuyama University |
Principal Investigator |
松本 明生 福山大学, 人間文化学部, 准教授 (30406897)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 体験の回避 / ストレス反応 / 予測的研究 / 大学生 / ストレッサー / ストレスマネジメント |
Outline of Annual Research Achievements |
H29年度では体験の回避がストレス反応に及ぼす影響について,プロスペクティブな(予測的)観点からの調査研究を行った。対象は大学生であり,Time1では体験の回避を測定する質問紙である日本版AAQと大学生用ストレス自己評価尺度のストレス反応尺度への回答を求めた。次に,同一サンプルを対象に,Time1から1か月後に,Time2として研究1で用いたストレス反応尺度と大学生用日常生活ストレッサー尺度への回答を求めた。本研究ではTime1と2に回答し,かつ不備のある回答を除いた208名のデータを分析の対象とした。
Time2における7つのストレス反応尺度下位尺度得点を従属変数とした階層的重回帰分析を行った。Step1では性別と年齢を投入した。Step2ではTime1におけるストレス反応尺度の合計得点とストレッサー尺度の合計得点を投入した。Step3では日本語版AAQの2つの下位尺度得点を投入した。すべての下位尺度のStep1では標準偏回帰係数も説明率・説明率の変化も有意でなかったが,Step2ではストレッサーとストレス反応尺度得点のそれらは有意であった。Step3では抑うつ,不安と怒り,身体的疲労感尺度において2つの下位尺度得点の標準偏回帰係数と説明率・説明率の変化も有意であった。情緒的反応と引きこもり尺度においてはAction尺度の標準偏回帰係数と説明率・説明率の変化が有意であった。また自律神経系の活動性亢進尺度の説明率の変化は有意でなかった。
以上の結果は,ストレッサーとTime1のストレス反応を統制した際に,体験の回避がTime2のストレス反応を予測することを示唆するものであり,これは体験の回避がストレス反応の増悪に影響する要因であることを裏づける結果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H29年度で計画した研究はすべて実施し,調査サンプルの偏りを考慮し,東北,関東,中国地方でデータを収集した。おおむね研究実施者が想定していた結果を得ることができた。これからH30年度に計画している研究を実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点では,申請時の研究計画通りに研究を進める予定である。
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Causes of Carryover |
研究実施者の研究実施,研究データ分析をスムーズにするために,今年度は物品費に多く経費を使用した。また購入したパソコンを予定していたものより性能の良いものにした。これらの結果,その他の消耗品などは次年度にすることとなった。繰越額についてはその経費とする予定である。
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