2019 Fiscal Year Research-status Report
中間管理職の「ケア力」向上によるメンタルヘルス不調防止プログラムの開発
Project/Area Number |
17K04477
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Research Institution | Seinan Gakuin University |
Principal Investigator |
小川 邦治 西南学院大学, 人間科学部, 准教授 (80537598)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田原 直美 西南学院大学, 人間科学部, 准教授 (10708879)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 健康開発 / 職場のメンタルヘルス / 中間管理職の役割 / 上司の「ケア力」 / 心理的安心感 / 関係葛藤 / 課題葛藤 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.中間管理職(上司)のケア力に関する臨床心理士を対象とした面接調査 2018年7月から2019年1月にかけて実施した,職場のメンタルヘルス対策に従事する臨床心理士を対象とした面接調査のデータをMaxQDAを用いた質的分析によって解析した。解析プロセスの中で,職場のメンタルヘルス対策に従事する心理職としての役割や職業アイデンティティを重視する姿勢が浮き彫りになってきた。また上司相談についての語りからは上司相談に必要な心理職としての具体的スキルだけでなく,上司の苦悩や上司の問題行動が浮かび上がってきた。具体的には,心理職は不調者対応だけでなく,上司相談,組織づくり・対応の仕組みづくり,およびストレスチェック実施者としての役割を担っていた。また上司相談では対応の具体的な提案だけでなく上司との協力関係を構築していくこと,傾聴や上司へのねぎらいと尊重が重要であること,また本研究課題の主眼である上司に対するケアの視点も語られた。一方で,上司そのものをケアすることを目的とした活動は特にされてきていなかった。これらの結果を産業ストレス学会シンポジウムにて発表すると共に学術誌(精神科)にて発表した。 2.上司のケア力を高めることの基盤となる概念の探索 本研究のテーマである「上司のケア力」について,概念的検討をするためにikigai(Barcia and Miralles, 2017),首尾一貫感覚(Antonovsky, 1979),およびレジリエンスについての文献を中心に情報収集した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
面接調査は1月に終了したものの,調査の過程で浮かび上がってきた「企業内で働く臨床心理士の役割」についての解析に時間を要したこと,上司のケア力についての概念的検討が必要であることから情報収集をし直したこと,研究者の学務負担の急増,および新型コロナ対策により研究活動に支障が出たため,研究の進捗は遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
1.「上司のケア力」を理論的に支える概念の検討 昨年度実施した面接調査および情報収集から,現在欧米を中心に注目されている「ikigai」,健康生成理論の中核概念である首尾一貫感覚(Antonovsky, 1979),およびトラウマからの回復だけでなくビジネス場面でのメンタルタフネスとして援用されるレジリエンスの視点から再検討する。 2.上司ー部下の関係性の見直し アフターコロナの時代においては上司と部下の関係もこれまでとは異なったものとなってくるだろう。その視点から現在求められている上司のケア力について再度検討する。
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Causes of Carryover |
2020年度に予定していた調査のための出張が延期となったため。
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Research Products
(2 results)