2021 Fiscal Year Research-status Report
常識的見解の功罪をふまえたDV支援活動の啓発-DVに対する一般常識の把握を通して
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17K04479
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Research Institution | Prefectural University of Kumamoto |
Principal Investigator |
石井 佳世 熊本県立大学, 共通教育センター, 准教授 (00551128)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 宏祐 佐賀大学, 教育学部, 准教授 (30441950)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | DV / DV被害者支援 / 常識的見解 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、DVに関する世間の常識的見解や地方自治体の啓発活動の実態調査を通して、一般向け及び援助者向けの効果的なDV啓発活動を提案することを目的としている。 2017年度~2020年度は、青年のDVに関する常識的見解について検討を行った。また、DV被害者に関わった経験を持つ地方自治体職員への質問紙調査を通して、DVにまつわるDV支援者の常識的見解の把握を行なった。 一方、DV被害者はDV被害者の援助を専門としない支援者とかかわる機会があることも多い。その一つにアルコール依存症者にかかわる専門機関がある。アルコール依存症の問題とDVは併存する確率が高いことは指摘されている(森田・信田,2004)。 2021年度は、必ずしもDV支援を専門としない支援者との関わりに焦点を当て、過去にDV被害を受けていたアルコール依存症者の配偶者にインタビュー調査を行った。DV被害者として支援を受けるのではなく、アルコール依存症者である配偶者が、DV被害者の援助を専門としない援助者とかかわる体験について語りを得た。インタビュー調査は引き続き行っていくが、現在までに得られたデータの質的な分析は行っている。現在までの分析ではアルコール依存症者の支援者からの自身に対する対応に疑問を持ったエピソードや家族関係の回復にまつわるエピソードが語られ、DV被害者とかかわる機会もあるアルコール依存症の支援者は、アルコール依存者の治療協力者としてDV被害者とかかわるのみではなく、DV被害についても配慮しながらかかわることが必要であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症対策のため、インタビュー調査が思うようには進まなかったが、着手することができた。また、オンライン開催された学会にて、本研究の知見を活かした間接的な関連のある研究の口頭発表を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
追加のデータ収集を行う予定であるが、新型コロナウィルスの感染症対策のため、データ収集の手続きが遅れている状況である。 次年度は、内容によってはオンラインによるデータ収集を検討する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症対策のため、発表予定であった学会の対面での開催が見送られ、学会発表等の出張費の使用がなかった。また、県外への出張が難しく、調査にかかる出張費の使用がなかった。そのため、使用額の変更が生じた。 次年度は新型コロナウイルス感染症の状況を見ながら、データ収集や学会発表の出張費、もしくはオンラインでのデータ収集費用として使用する予定である。
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