2018 Fiscal Year Research-status Report
強迫症に対する予後改善パッケージプログラムの開発と効果検証
Project/Area Number |
17K04482
|
Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
小林 由季 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 認知行動療法センター, 流動研究員 (10741407)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹林 由武 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (00747537)
堀越 勝 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 認知行動療法センター, センター長 (60344850)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 強迫症 / 予後 |
Outline of Annual Research Achievements |
強迫症は長期予後が不良であることが多く、寛解に至った強迫症患者の約半数が再発を経験しており、再発率の高さが指摘されている。予後不良の要因として、強迫症やうつ症状の重篤性、家族機能の不全、社会機能の低さなどがあげられている。さらに、治療後に残存する軽度の強迫症状が強迫症患者のQOL低下を維持し、強迫症の再発リスクとなる可能性があると報告されている。このような背景を踏まえ、本研究の目的は、強迫症に対して薬物療法以外の治療を終えた患者の予後を調査し、予後予測モデルを構築すること、さらに残遺症状別に介入可能な予後改善パッケージプログラムを開発し、その有効性を検討することである。今年度は、前年度に実施した強迫症の長期予後に関する実態調査の結果について統計解析を行い、残遺症状別に介入可能な予後改善パッケージプログラムについて検討した。プログラムの介入要因として行動活性と回避、心理学的ウェルビーイング、マインドフルネス、家族への巻き込みについて評価しており、今年度は、各介入に関する文献収集やワークショップ参加を通して情報を収集し、これらの介入の実施回数、介入内容を検討した。予後改善パッケージプログラム案の作成を進め、内容について検討を重ねた。強迫症患者に対する大規模な予後調査、及び予後まで含めた介入パッケージプログラムは国内ではほぼ皆無である。本研究は、強迫症患者だけでなく、強迫症患者の家族機能を高めることも期待され、臨床的にも社会的にも意義があると考える。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度に「強迫症に対する薬物療法以外の治療を終えた患者」を対象に予後調査を実施した。今年度はそのうち回答の得られた114名を対象に統計解析を行った。予後の機能水準として、強迫症状、QOL、うつ症状を、患者要因として、家族の巻き込み、属性、発症年齢、罹患期間、薬物療法実施期間を、介入要因として行動活性と回避、心理学的ウェルビーイング、マインドフルネスを評価した。 今年度は予後改善プログラムの構成内容やその回数、実施方法について検討したほか、プログラム案を作成した。当初の予定どおり予後改善プログラム案作成まで進んでいることから、本研究課題の進捗状況は、おおむね順調に進展していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度に作成した強迫症の予後改善プログラム案を、強迫症に対する薬物療法以外の治療を終えた強迫症患者を対象に、パイロットスタディとして実施予定でいる。今後は倫理委員会への申請を経て、数症例を対象に予後改善プログラムを実施予定でいる。本研究により予後改善プログラムの安全性と有効性について検討を進めていく。 さらに、前年度の強迫症予後調査の結果については、論文や学会発表で行う予定である。
|
Causes of Carryover |
予後調査結果に関する英文論文作成、及び学会発表を次年度に延期した。論文は計3本作成予定であり、その英文校閲費、投稿費、学会出張費を次年度に使用する。また予後改善プログラム実施にあたり、研究補助員の人件費が次年度に発生する。以上の理由から次年度使用額が生じた。
|